主の御名をあがめます。
皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。
聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は旧約聖書、創世記の41章です。よろしくどうぞ。
創世記 41章54節
ヨセフが言ったとおり、七年の飢饉が始まった。その飢饉はすべての国々に臨んだが、エジプト全土には食物があった。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)
エジプトの王ファラオが変な夢をみて、その夢についてヨセフに解き明かしを命じたところ、「7年の豊作の後に7年の飢饉が来ます。ですから豊作のうちに飢饉に備えて食糧を備蓄しておくべきです。」とヨセフは答え、そして実際にその通りになりました。飢饉はひどいものでしたが、エジプトにはたっぷりと食料の蓄えがあったのでこれを乗り切ることができました。
備えあれば憂いなし。飢饉に限らず、どんな災害やトラブルにも備えがあれば助かります。とはいえ、災いのない平和なうちからそれに備えるというのは意外と難しいことです。僕も近頃ようやく家に防災セットを買いました。それまではいつ来るかわからない災害のためにわざわざお金を出して備えるのが、必要なことだと分かっていながらずっと後回しにしていたんです。
7年の飢饉の前に7年の豊作があったら、その豊作を喜んで、その実りを食べ尽くしてしまうのが、人間のありがちな姿です。イソップ童話の「アリとキリギリス」の話は有名ですが、寓話としてあの話が広まるということは、人間にはそれだけそういう性質が強いということです。
この点においてファラオは明君であったと思います。すなおにヨセフの進言を聞き入れて、豊作のうちにちゃんと飢饉への備えをしたんですから。これは意外と難しいことです。今の日本の政治を見ていましたって「有事への備え」というのは後回しにされがちです。人間は「何かあった時に備える」よりも「今の生活を豊かにする」方を優先したいものだからです。豊作の7年の間、ファラオは普段よりも収穫物の税率を上げましたから、きっとその時点では国民の反発も受けたことでしょう。「せっかくの豊作なのに税率が上がっちゃんじゃ俺たちの生活は豊かにならないよ!」と。ファラオは絶対王権を持っていますから国民の支持率なんて関係ないですが、現代社会でこれをやったらきっと国民の支持率は落ちたことでしょう。それでも断行しなければならないことはあります。
しかし、豊作のうちに税率を上げないで、飢饉になってから慌てて「国のために税率をあげます!」なんてファラオが言い出したら、それこそ国民の反乱が起こったことでしょう。いくら絶対王権のファラオであっても地位が危うくなりかねません。税を取るタイミングと、それを吐き出すタイミングを間違えてはいけません。そのタイミングの取り方こそが政治家の腕の見せ所かと思います。
今の日本のように景気が悪くなってから、しかもその状態が長く続くようになってから「国庫がピンチなので税率を上げます」なんてことは、やってはいけない典型例のように思います。とはいえもちろん、このファラオの場合は「7年の豊作と7年の飢饉」と、非常にわかりやすい指標があったわけで、現代日本において、いつ好景気が来ていつ不景気が来るかの予想はそんなにシンプルにはできません。だからこそ政治家さんたちの仕事は大変だなと思います。不確実なことを予想し、断行し、結果に責任を持つ。並大抵の覚悟と度胸でできることではないと思います。その点では、結果はともかくとして、歴代の総理大臣さん達には「おつかれさま」と「ありがとう」を言いたいです。
・・・とはいえ、この誰もが苦しい時節に「安全保障の備えのために増税」「少子化を食い止めるために増税」はいかがなものでございましょう・・・とは思いますが。「備えあれば憂いなし」は良いですけれど、備えのために憂いを作ってしまっては本末転倒ですからね。
それではまた。
主にありて。
MAROでした。
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