レバノンの女性らが悲痛の訴え「戦争の狂気をやめさせて。レバノンは生きるに値する!」

レバノン全土を襲い、人々を殺害し、強制退去させている破壊的な戦争のさなか、レバノンのベカーキにあるマロン教会の女性司牧事務所は、悲鳴を上げ、「戦争の狂気をやめさせて。レバノンは生きるに値する!」と題する声明を発表した。同事務所のコーディネーターであるアブー・ムザワク氏は、声明の背景にある動機、女性たちが日々直面している現実の一部、そして世界中の女性たちがどのように支援できるかについて、時間を割いて振り返った。世界教会協議会(WCC)サイトに掲載された。

――声明の背景となった動機は何ですか?

ムザワク レバノンのマロン教会の女性司牧事務所として、私たちはこの戦争の中心で家族、特に女性や子どもたちが直面している試練に深く心を動かされました。声明の背景となった動機は、平和と正義を訴えると同時に、この危機の重荷を背負っている人々との連帯を表明することでした。教会として、私たちの使命は、苦難に負けず、社会の結束を維持し、最も弱い立場にある人々を支援する上で重要な役割を果たしている家族や女性の尊厳と道徳的強さを促進することです。また、私たちは、共に平等に、そして個性を発揮しながら生活していく上で、社会の構成要素の多様性が持つ実存的重要性を体現しているレバノンを保護し支援する緊急的な必要性について、国際社会と地元の人々の意識を高め、行動を促すことも目指しています。

――女性たちが直面している日常的な現実について、いくつかお話いただけますか?

ムザワク レバノンの女性たちは、この戦争という状況下で、日々大きな困難に直面しています。 食料、水、医療、教育といった基本的な資源へのアクセスが限られているため、極度の困難な状況下で、家族の世話を担うという重荷を最初に背負うのは、多くの場合女性たちです。 また、暴力や不安定さの絶え間ない脅威にさらされながら生活しているため、彼女たちや彼女たちの子供たちは、より脆弱な立場に置かれています。にもかかわらず、彼女たちは回復力と勇気を示し、家族やコミュニティを支え続けています。私たちは、彼女たちの犠牲と強さを認識し、彼女たちの日常生活を支援することを約束します。

具体的には、避難していない女性は、家事や職業上の責任をこなす一方で、最も基本的なニーズを満たす手段さえ欠いている避難した家族を支援しなければなりません。

避難を余儀なくされた女性は、家や持ち物を失うことへの恐怖や苦悩を乗り越えなければなりません。 また、わずかな資源しかない状況で、自宅にいるときと同じように日々の要求を満たさなければなりません。 さらに、子どもの不安や夫の怒り、高齢者の苦悩を和らげることも必要です。

――世界中の女性たちは、どのように支援できるでしょうか?

ムザワク このような困難な時期にあるレバノンの女性を支援するには、世界的な連帯が不可欠です。世界中の女性が、レバノンの女性たちの置かれている状況や苦悩について認識を広めるために声を上げ、平和的な介入と的を絞った人道支援を訴えることで、支援を行うことができます。また、緊急支援や物資を家族に提供している地元および国際的な組織を支援することもできます。さらに、支援と交流のネットワークを構築することで、世界中の女性たちが経験やスキル、回復力、強さを共有し、国境を越えた女性の連帯の動きを強化し、レバノンの女性たちに精神的な安らぎをもたらすことができます。

また、思想、考察、祈り、行動を通じて連帯のネットワークを構築することもできます。

公開書簡

ベイルート 2024年10月17日

戦争の狂気をやめさせよう、レバノンは生きるに値する

レバノン全土のマロン派司教区のすべての委員会が所属するマロン派司教区の女性司牧局は、レバノン領内での継続中の軍事作戦の影響、および法律、国際協定、人道倫理の侵害の結果としてレバノンが経験していることを踏まえ、あなたがたに呼びかけます。レバノン南部、ベッカー高原、ベイルートおよびその郊外から150万人近くの人々が避難を余儀なくされている中、私たちはこの手紙を届けます。この手紙では、私たちの同胞が被っている苦痛の大きさに声をあげ、悲鳴すらあげています。

私たちは、殺害、避難、家屋の破壊、財産の侵害のすべてについて、声を大にして拒絶し、非難します。

罪のない人々、特に子ども、女性、高齢者、医療および救助チームが標的となっていることに、私たちは苦痛の声をあげます。この戦争は、学校や大学の学期の始まりをも混乱させ、子供や若者たちを、自分たちの運命に対する深い不安と衝撃の渦中に投げ込みました。

ですから、私たちは叫びます:もうたくさんだ! ますます犯罪性と破壊性を増しているこの狂気を止めろ! 人間のあらゆる価値を踏みにじり、地域、国内、国際的なさまざまな請願を覆してきたこの狂気を止めろ!

人類の名において、平和を求める私たちは、マロン派総大司教区の女性司牧局の女性として、この戦争を止めるための大胆かつ迅速な取り組みを通じてレバノンとその国民を支援し、即時の停戦を要請し、社会的に、また経済的に疲弊したレバノンを支援するよう、意思決定者、国際機関、善意ある人々に訴えます。

レバノンには、国際法および条約の明白な違反を阻止するための、悲劇的な状況にふさわしい取り組みが必要です。レバノンの人々は生きることを選び、尊厳と平和のうちに生きる権利があります。

レバノンは皆さまの支援を必要としています。

レバノンには生きる価値があります!

参照先: – United Nations(国際連合) – OHCHR(国連人権高等弁務官事務所)- UN Women –Arab States(アラブ諸国国連女性機関)- UNESCO(国際連合教育科学文化機関)- UNICEF(国際連合児童基金)- バチカン – League of Arab States(アラブ連盟)-Arab Women Organization(アラブ女性機構)- WCC(世界教会協議会) – MECC(中東教会協議会) – UMOFC=WUCWO(世界カトリック女性連合)- Women for Women International(国際女性同盟)- Arab Business Women Council(アラブビジネスウーマン評議会)

(翻訳協力=中山信之)

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