CNNによると、バチカン(ローマ教皇庁)は3月29日、未成年者への性的虐待に対してより厳しく処罰する包括的な新法を発表した。対象となるのは、バチカン市国内と、海外のバチカン関連事務所や大使館。新しい法律は6月1日から発効される。
教皇フランシスコが署名した新しい法律では、性的虐待の可能性があるとの情報をバチカン当局に報告することが義務づけられた。また、未成年者への性的虐待の罪を犯した従業員は誰でも、自動的に解雇される。
犯罪を報告するための時効はこれまで、犯罪が起きたとされる日から4年間だったが、今回、被害者が18歳になった誕生日後の20年間にまで引き上げられた。
カトリック聖職者による性的虐待スキャンダルに直面し、今年2月に開かれた前例のないバチカンでの全世界司教会議を受けて、こうした動きが出てきた。
さらに、バチカンが採用を検討している職員については、子どもと一緒に働くのに適しているかどうかを確認するための特別な選考過程を経ることになる。
「バチカン市国とローマ教皇庁にふさわしいこれらの規範により、教会が常に子どもや弱い立場の人々にとって一段と安全な家でなければならないという意識がすべての人のうちに養われることを、父なる神は望んでおられます」と、バチカンのスポークスマンであるアレッサンドロ・ジソッティ氏は声明の中で述べた。
教皇は2013年、未成年者への性的暴力を取り締まるよう、バチカン市国法を改正したが、今回、バチカン市国と海外の事務所を対象にした、子どもへの性的虐待についての包括的かつ特定の手続きと法律を打ち出したのは初めて。
バチカンによると、約800人がバチカン市国に住み、約450人はバチカンの市民権を持っている。バチカンのためにローマ市内や海外の大使館で働いている聖職者や修道女、信徒は5000人と推定される。