フィリピン南部スルー州ホロ(Jolo)島にあるカトリック教会「カルメル山の聖母マリア大聖堂」で27日午前、ミサの最中、聖堂内部で爆発があった。兵士や警官らが駆けつけたところ、屋外の駐車場でオートバイも爆発した。ミサ出席者15人と兵士5人の合わせて20人が死亡、100人以上が負傷した。
同国の大統領報道官は、事件を「テロおよび殺人行為」と呼んで非難している。ロレンザーナ国防相は、「法に基づく最大の力で犯人を処罰する」との声明を出した。
紛争やテロが続くフィリピン南部では、政府と武装勢力の和平合意を受け、地域の安定を目指すイスラム自治政府が2022年に発足する予定。スルー州などフィリピン南部の5つの州では先週21日、そのイスラム自治政府への参加の可否を問う住民投票が行われたばかりだった。ホロ島のあるスルー州は反対票が上回ったものの、ほかの4州が賛成多数だった。
米テロ組織監視団体SITEインテリジェンス・グループ(SITE Intelligence Group)によると、27日に教会内と駐車場で自爆ベルトを起爆させたと主張する公式声明をイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が出したが、信ぴょう性は不明。イスラム系武装勢力は、自治政府に認められる権利が不十分としてテロを予告していた。軍や警察は今回の爆発を、投票結果に不満を持つ勢力によるテロの可能性があると見て捜査している。。ホロ島は、国際テロ組織アルカイダ系のイスラム過激派「アブサヤフ」が拠点としており、これまでにも同島で数々の爆発攻撃を行っており、同州や近隣のバシラン州でもテロ活動を続けている。