アドベントの菓子シュトレンとベラベッカ

 

イエス・キリストの誕生を祝うクリスマス。その準備の期間をアドベント(待降節)といいます。今年は来週の日曜日、12月1日がスタート。

教会では、プレゼピオ(馬小屋の模型)が飾られ、アドベントの4本のろうそくの最初の1本に火が灯されます。家庭でも玄関にアドベント・リースが飾られ、アドベント・カレンダーを1日ごと開いてクリスマスを待ち望みます。

シュトレン(写真:Whitney)

このアドベントの時期、ドイツではドライ・フルーツなどを混ぜ込んだパンのようなケーキ「シュトレン」(Stollen)を少しずつスライスして食べる習慣があります。中に練り込まれたフルーツの風味が日ごとに染み込むため、1日1日、味の変化を楽しみながら、クリスマスが待ち遠しくなるというもの。今では日本でもケーキ屋やパン屋、「カルディ」などで販売されています。

アドベントは、イースター前のレント(受難節)と同じように悔い改めの期間です。そのため断食として、バターやさまざまな食品を断ったので、最初の頃、シュトレンは、小麦粉と酵母、油、水のみで作られた、非常に乾燥した固いパンでした。

シュトレン(写真:Alice Wiegand)

今ではシュトレンは、ナッツやレーズン、砂糖漬けのオレンジとレモンの皮がカラフルに中に散りばめられています。白い粉砂糖をまとった楕円形の伝統的な形は、産着にくるまれた幼子イエスを象徴しています。また別の伝説では、上部がデコボコなのは、幼子イエスへの贈り物を持った3博士が乗ったラクダの背中のこぶを表し、砂糖漬けの果物は、博士を飾った貴重な宝石を表しているといいます。

アプリコット、ナツメヤシ、イチジク、ナッツ入りのベラベッカ(写真:Alice Wiegand)

「シュトレン」に続いて、いま注目されているのが「ベラベッカ」(Beerawecka)です。フランス・アルザス地方の言葉で「洋梨のパン」という意味。これも、さまざまなドライ・フルーツやナッツをキルシュ(サクランボの蒸留酒)に漬け込み、イースト生地を加えて焼き上げたものです。寒さの厳しいアルザスで生のフルーツがとれなくなる冬、クリスマスを中心に食べられました。これも時間の経過とともに違う味わいを楽しめます。初めはそれぞれのフルーツの味がはっきりと感じられますが、次第に熟成が進むと、まろやかな味わいに変化するのです。

雑賀 信行

雑賀 信行

カトリック八王子教会(東京都八王子市)会員。日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会(岡山市)で受洗。1965年、兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。90年代、いのちのことば社で「いのちのことば」「百万人の福音」の編集責任者を務め、新教出版社を経て、雜賀編集工房として独立。

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