今日9月24日は西郷隆盛が亡くなった日。1887年のこの日午前4時、西南戦争で明治政府軍が鹿児島の城山を総攻撃したとき、西郷は被弾して、仲間に「もう、ここらでよか」と言うと、仲間は「ごめんなったもんし」と叫んで西郷の首を刎(は)ねました。49歳でした。明治維新の立役者でしたが、政府に不満を抱く人々に担がれて挙兵した悲劇のヒーローといえます。
NHK大河ドラマでは、昨年の「西郷(せご)どん」(演:鈴木亮平)や1990年の「翔(と)ぶが如(ごと)く」(演:西田敏行)など、西郷が主人公の作品や、2008年の「篤姫」(演:小澤征悦)などでもその生涯は描かれています。
西郷が晩年に好んで揮毫(きごう)したのが「敬天愛人」という言葉です。西郷の遺訓集である『南洲翁遺訓』にもこうあります。「天は人も我も同一に愛し給(たま)ふゆゑ、我を愛する心を以(もっ)て人を愛する也(なり)」(24条)
「敬天愛人」という言葉は、17世紀、清の康熙(こうき)帝が中国伝道していた教会に、この言葉を書いた扁額を与えたのが最初だといわれます。日本で最初に使ったのはクリスチャンの中村正直とされ、サムエル・スマイルズの『自助論』を翻訳した『西国立志編』(明治に100万部以上売れたベストセラー)の中にこの言葉が登場します。「国会議員たる者は、必ず学明らかに、行い修まれるの人なり、敬天愛人の心ある者なり、己に克ち、独りを慎しむ工夫ある者なり」
西郷は宣教師と交流があり、聖書を読んでいたといわれますが、この言葉にそのことが如実に表れています。