セブンスデー・アドベンチスト教会(SDA)が設立母体である私立の広島三育学院(高等学校・中学校・大和小学校:広島県三原市)と沖縄三育学院(中学校:沖縄県名護市、小学校:中頭郡)はそれぞれの学校法人によって運営されてきたが、4月1日、学校法人三育学院(千葉県夷隅郡)に統合された。学校を経営する学校法人が合併する背景には、少子化による学齢人口の減少があると見られる。
学校法人三育学院はこれで、日本にある三育学院の大学から幼稚園まで、次の全20校を運営することになる。三育学院大学(千葉県夷隅郡)、広島三育学院高等学校、北浦三育中学校(茨城県行方市)、広島三育学院中学校、沖縄三育中学校、久慈川三育小学校(茨城県日立市)、東京三育小学校(東京都練馬区)、三育学院大学付属光風台三育小学校(千葉県市原市)、札幌三育小学校(札幌市北区)、鹿児島三育小学校(鹿児島市)、横浜三育小学校(横浜市旭区)、函館三育小学校(函館市)、広島三育学院小学校、広島三育学院大和小学校、沖縄三育小学校、盛岡三育幼稚園(盛岡市)、鹿児島三育幼稚園(鹿児島市)、札幌三育幼稚園(札幌市北区)、浜三育幼稚園(横浜市中区)、広島三育学院幼稚園(広島市中区)、専門学校三育学院カレッジ(千葉県夷隅郡)。
広島三育学院は、もともと千葉県袖ケ浦市にあった日本三育学院の中学と高校が、1977年、広島県三原市に移転してできた。同じところにあった三育学院短期大学・カレッジも翌年、現在の夷隅郡に移転したのは、袖ケ浦が工業地帯として発展するなど環境が変化したことによる。中高一貫教育を行い、全国でも珍しい全寮制男女共学校。食事は、卵乳菜食というセブンスデーならではのこだわりがある。
沖縄三育学院は小学校が1953年、中学校は翌年の設立。小学校は教師全員がクリスチャンで、少人数制教育を行っている。中学校は沖縄で唯一の全寮制。広島三育学院高校と変則的な一貫教育を行っている。
セブンスデー・アドベンチストの教育機関を表す「三育」とは、徳育(人格教育)、知育(知的教育)、体育(健康教育)の3つにおいて、バランスある全人的な教育の実践を目指すという意味。三育学院の食品部から派生した関連機関として三育フーズがある。セブンスデー・アドベンチストは教育事業に力を入れており、全世界に110の大学、1748の中学高校、5899の小学校がある。
明治時代、米国に留学していた薩摩藩士の子、大河平(おこひら)輝彦が洗礼を受け、やがてセブンスデー・アドベンチスト教会員となった。帰国に際して、「日本伝道に共に行ってくれる人はいないか」と訴えたところ、大河平の通っていたヒルズバーグ大学学長のウィリアム・C・グレンジャーが1896年、大学を辞して宣教師として来日。98年に東京・芝公園に「芝和英聖書学校」を設立したのが三育学院の始まりだ。
セブンスデー・アドベンチスト教会は19世紀、米国で盛り上がった再臨待望運動から生まれた教派。初期は再臨日を特定するなど、異端の扱いを受けることが多かった。キリストが復活された日曜日ではなく、土曜日を安息日として礼拝を守るなど、一般の教会との違いはあるが、現在では多くのキリスト教団体から受け入れられている。この三育学院も、プロテスタントのキリスト教主義学校によって組織しているキリスト教学校教育同盟に加盟している。