教皇フランシスコは3日から5日まで、アラビア半島にあるアラブ首長国連邦(UAE)を訪問している。アラビア半島はイスラム教の発祥地であり、歴代教皇で、そこにある国を訪れるのは今回が初めて。27回目の海外司牧訪問(イタリアを除く)となる。
教皇は同日正午、バチカン(ローマ教皇庁)で日曜正午の祈りの集いを行った後、ローマ郊外のフィウミチーノ国際空港(レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港)から午後1時半ごろ、特別機で首都アブダビへと出発し、同日夜に到着した。
ムハンマド・アブダビ皇太子の招待に応えるもので、アブダビで開催される諸宗教の集いへの出席が主な目的。教皇は「宗教間の関係について、新しい歴史のページを記す機会」と今回の訪問の意義を述べ、UAEも「歴史的な訪問」と強調している。
4日午前、教皇はアラブ首長国連邦大統領府で歓迎式に臨んだ後、ムハマンド皇太子を公式訪問。午後、イスラム教の礼拝所シェイク・ザイード・グランド・モスクでムスリム長老会議のメンバーと会談する。続いて、建国者記念碑のもとで行われる諸宗教の集いに出席。
5日午前、アブダビ市内のカトリックのカテドラル、聖ヨセフ教会を訪問し、地元の教会関係者と交流する。この後、複合競技施設ザイード・スポーツ・シティー・スタジアムで野外ミサを行う。UAEの国民の大多数はイスラム教スンニ派だが、国内で働くフィリピンやインド出身のカトリック移民が約100万人居住しており、また周辺国の信者も含め、約13万5000人が参列する見込み。
その後、同日正午過ぎ、アブダビを後にし、イタリア時間同日夕方にローマに戻る。
教皇は事前のビデオ・メッセージの中で同国の国民に向けて次のように話した。
「共存のモデル、人類の兄弟愛、さまざまな文明と文化の出会いを追求する国、違いを尊重する中で多くの人が自由に働き、生活するための安全な場所を見つけることができる皆さまの国を、あと数日で訪問できることをうれしく思います。未来に眼差しを向けながら、今日を生きる国民の方々とお会いできることを楽しみに思います。皆さまの愛するお国で、私たちがそれぞれの違いにもかかわらず兄弟であることを確認しつつ、宗教間の関係について新しい歴史のページを記す機会を主が与えてくださったことを幸いに思います」