第100回全国高等学校野球選手権記念大会(日本高校野球連盟、朝日新聞社主催)の全国大会が5日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕した。
キリスト教主義の折尾愛真(おりおあいしん)高等学校は10日正午(予定)から日大三高(西東京)と1回戦でぶつかる。日大三高は全国大会で3回優勝、3回準優勝をした強豪だ。
折尾愛真高校は北福岡予選(北九州市民球場)で7月23日、優勝し、創部15年目で初の全国大会出場を決めた。奥野博之監督(48)は2004年の創部からチームを率い、「打ち勝つ」打線を作り上げてきた。今夏6試合で計10本塁打、決勝戦も、満塁本塁打を含む3本の本塁打と10安打により、12対9で制している。
創部当時、野球をするグラウンドがなかったため、近くの公園でキャッチボールをすることから始めたという。部員は女子1人を含む5人で、「女の子がいちばんうまい」と見ている子どもに言われるようなスタートだった。
折尾愛真高校は、福岡県北九州市にあるキリスト教主義の私立高校。学園聖句は「光の子らしく歩きなさい」(エペソ5:8)。
創立者の増田孝(1904~99)は福岡県生まれ。肺結核に冒された時、内村鑑三の本を読んで聖書と出会い、洗礼を受ける。29年、京都帝国大学を卒業後、故郷の折尾に戻り、「キリスト教に基づく人格教育」を実践するため、私財を投じて35年、折尾高等簿記学校を創立した。
47年、新学制により折尾女子中学校、翌年には折尾女子商業高等学校を設立し、中高一貫教育を目指した。55年には愛真幼稚園、66年には折尾女子経済短期大学を設置するなど、総合学園として発展を遂げる。2001~04年、男女共学校として、折尾愛真中学校、折尾愛真高等学校、折尾愛真短期大学に校名変更した。
「学園の教育理念の根底に流れているものは、聖書に基づくキリスト教教育です。学ぶ一人ひとりの内に、『神への畏敬の心』が養われ、さまざまな人生の嵐が吹いてきたとしても、『人生を生き抜く力』を与える教育を目指しています。十字架の上に命を注ぎ出すまでに私たちを愛しておられる『神の愛』に触れる時、人はその愛と期待に応答する生活をするように導かれます。自分の命も他者の命も大切にすることを教えられ、そして若き日に、自分の人生をどのような素晴らしい目的のために用いるのか(使命)を問いかける教育は、何というチャレンジに満ちたダイナミックなものでしょうか」と校長の増田仰(ますだ・あおぐ)氏は述べている。
奥野監督の妻がクリスチャンで、野球部員は監督の指導で礼拝への参加は義務という情報があったため、奥野監督に直接聞いてみると、「そういうことはありませんが、朝の礼拝には皆、出ていますよ」ということだった。
今回は史上最多の全56代表が戦う。地方大会の参加校数が多く、例年2校が代表となる北海道と東京に加え、埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡の7府県も2校ずつ出場する。折尾愛真のある福岡から複数校が出場するのは初めて。
この全国大会に出るキリスト教主義高校は、初出場の折尾愛真高校のほか、福島県の聖光学院高校がある。両校ともキリスト教学校教育同盟に加盟している。
聖光学院高校は1961年、カトリックのキリスト教教育修士会により設立された。硬式野球部は、春に4回、夏に15回出場している。夏は、2008年、10年、14年、16年の4度、ベスト8に進出。また、春も13年にベスト8に進出している。今回、戦後最長記録を更新する12連続出場を遂げた。11日午後1時から報徳学園(東兵庫)と1回戦を戦う。報徳学園も春に2回、夏に1回優勝している強豪だ。