今日11月7日はド・ロ神父の帰天日。多彩な才能で長崎県の外海(そとめ)地区のために尽くし、「外海の聖者」「ド・ロさま」と呼ばれて人々に慕われたフランス人宣教師です。
明治になる1868年、28歳のときに来日し、78年、長崎の西海岸沿いにある出津(しつ)教会の主任司祭として赴任。隠れキリシタンが多く住んでいた外海地区の司牧の任にあたりました。
フランス貴族の家に生まれたド・ロ神父は、人々のあまりの貧しさに衝撃を受け、実家から譲り受けたすべての財産を惜しみなく献(ささ)げます。この地では孤児や捨子も多く、海難事故で夫や息子を失った家族が悲惨な生活を送っていたため、孤児院や救助院、診療所をつくって社会福祉活動を始めるのです。
また、フランスで身につけた農業・印刷・医療・土木・建築・工業・養蚕業などの技術を人々に教えました。そこで製造された織布、編物、そうめん、マカロニ、パン、醤油などを販売して、少しでも生活の足しになるようにしたのです。特に落花生の油を使用するという神父のアイデアによる「ド・ロさまそうめん」は人気商品となり、今も名物です。
ド・ロ神父が設計・建築に携わった出津教会堂、大野教会堂などは、ゴシック様式を踏襲しつつ日本の伝統文化を重んじた建築様式が特徴。そのほか、ド・ロ神父の社会福祉事業に関連する遺跡は、世界遺産「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」に加えられています。
1914年、大浦天主堂司教館の建築現場から転落して、74歳で帰天しました。