日本聖公会東京教区 3月8~29日まで礼拝(公祷)を休止

 

日本聖公会東京教区の髙橋宏幸主教は5日、主教教書「新型コロナ・ウイルス感染症対応のお願い」をホームページで公表した。

2月26日付の主教教書では礼拝の休止についての言及はなかったが、「3月8日(大斎節第二主日)~29日(大斎節第五主日)まで礼拝(公祷)を休止する」と踏み切った。

その理由として、教会に人が集まること、東京が特に人口密集度や接触頻度の高いこと、公共交通機関などの利用による人の移動が感染リスクや拡散リスクを高めることの懸念を挙げている。また、マスクや消毒用アルコールを購入することが困難な現在、礼拝出席者を守る術(すべ)が縮小していることもある。そこで、人の命を守ることを最優先とすること、社会的責任を果たすことなどの観点から決断したという。

聖アンデレ主教座聖堂(写真:Aw1805)

ちなみに、すでに2月26日付で「新型コロナ・ウイルス感染症対応のお願い」、21日付で「新型コロナ・ウイルス感染症への対応について」、6日付で「新型コロナ・ウイルス感染症に伴う注意喚起」と題した主教教書を送っている。

髙橋主教による3月4日付の主教教書「新型コロナ・ウイルス感染症対応のお願い」と全文は次のとおり。

+ 主の平安をお祈り申し上げます

先般、2月26日に「新型コロナ・ウイルス感染症対応へのお願い」を発信致しました。その中で、政府の「新型コロナ・ウイルス感染症対策専門家会議」の2月24日付見解に基づき、少なくとも3月11日までは緊急議題や課題がある場合、業務を滞らせないために集まらざるを得ない場合を除き、委員会・研修会・その他の会合の開催を自粛の方向で検討されますようお伝え致しました。しかしながら、依然として世界的に新型コロナ・ウイルス感染が広まっており、未だ見えていない感染連鎖は日本中どこで起きていても不思議ではなく、対策を徹底することがさらに強く言われております。

常置委員会、教区事務所主事会議、教会グループ幹事教会牧師とも相談の上で、以下のことをお伝え致します。

教会や礼拝堂に人が集まることに因(よ)る感染や拡大のリスク以上に、東京という過度の人口密集度、接触頻度の高さなどに因る感染リスクの高さに加え、公共交通機関等の利用による人の移動が一層感染リスクや拡散リスクを高めるとの懸念は拭えません。また、これまでの文書ではマスク着用、アルコール消毒の励行を呼びかけましたが、それらが極めて購入、設置困難な現在、礼拝出席者を守る術も縮小しています。そこで、教役者や信徒の皆さまはじめ、人々の「命を守るために」を最優先とすること、教会の社会における責任を果たすことなどの観点から、

1 3月8日(大斎節第二主日)~29日(大斎節第五主日)まで礼拝(公祷)を休止する

2 葬儀に関しては、十分な感染予防対策の上で執り行う

3 第136(定期)教区会を延期する(別途、詳細をお送り致します)ことと致します。

それに伴い、諸会合に付きまして、前文書では3月11日を目途と記しましたが、更なる事態の深刻化ゆえに、引き続き一層の開催自粛の方向での対応をお願い致します。前回文書発信以降、今日まで、日本全国での感染者数は100人近い増加を見ています。苦渋の決断ではありますが、前述のように何よりも「命を守るために」ご理解とご協力を切にお願い申し上げます。

なお、その間は、祈祷書の「朝の礼拝」「朝の祈り」「聖書日課」などを用いて、神様との交わりの時、祈りの時を持たれることをお勧め致します。自宅で祈られることも命を守り合うことに通じます。また、祈りと信仰の営みを支えるために、聖アンデレ主教座聖堂ホームページを通して「自宅で行なう主日礼拝」をはじめとして、情報の提供を計画してまいります。これまでにない形でもありますが、共に祈り合うことによる連帯や信頼の中に主がおられることを強く信じます。

なお、今後の公的機関からの情報や推移を注目しながら、さらにメッセージを発信してまいります。重ねまして、皆さまのご理解とご協力を切にお願い申し上げます。

尊い命を失った方々の魂の平安、感染した方々の回復と医療従事者のお働き、感染の収束を切にお祈り致します

【新型コロナ・ウイルス感染症患者のため・医療看護に携わっている方がたのため】

「世の救い主よ、主は十字架の苦しみによってわたしたちを贖(あがな)われました。どうか、わたしたち、ことにこの度の新型コロナ・ウイルス感染症の苦しみ、不安の内にある人々を救い、癒しのみ手を差し伸べてください。また、医療と看護に携わる人びとの働きを助け導き、み力をもってその人びとを守り、励ましてください。主イエス・キリストによってお願いいたします アーメン」

【新型コロナ・ウイルス感染症によって亡くなられた方々のため】

「永遠にいます全能の神よ、新型コロナ・ウイルス感染症によって尊い命を失った方々の魂をすべての重荷から解放し、主の聖徒とともに永遠のみ国で安らかに憩わせてください。また、悲しみの中にある方がたに主の慰めが与えられますように、命の贖い主であられる主イエス・キリストによってお願いいたします アーメン」

「主よ、世を去った人びとの魂が、主の憐れみによって安らかに憩うことができますように アーメン」

雑賀 信行

雑賀 信行

カトリック八王子教会(東京都八王子市)会員。日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会(岡山市)で受洗。1965年、兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。90年代、いのちのことば社で「いのちのことば」「百万人の福音」の編集責任者を務め、新教出版社を経て、雜賀編集工房として独立。

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