国連女性委への拠出金停止 外務相にNCC女性委が撤回求める

国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)が「男系男子」の皇位継承権を定めた皇室典範の改正を勧告したことへの対抗措置として、外務省が1月29日、「国連女性差別撤廃委員会の事務を担う国連高等弁務官事務所(OHCHR)へ毎年拠出している日本の任意拠出金の使途から女性差別撤廃委員会を除外する。2024年度に予定されていた女性差別撤廃委員会の委員の訪日プログラムを見合わせる」と発表したことを受けて、日本キリスト教協議会(NCC)女性委員会(北村恵子委員長)は2月12日、岩屋毅外務相に対して抗議文を発出し、撤回を求めた。

抗議文では、勧告の内容が日本政府の意に沿わないからという理由で国連機関の勧告を尊重しない態度は、「国連人権理事会理事国として信頼を損なうもの」であり、「ジェンダーギャップ指数の低さは、日本の女性の人権の低さを示してい」るとして、拠出金停止に強く抗議した。

抗議文の全文は以下の通り。


外務大臣 岩屋 毅様

国連女性差別撤廃委員会への拠出金停止に強く抗議し、撤回を求めます

わたしたち日本キリスト教協議会(NCC)女性委員会は、ジェンダー正義を基本方針に、世界と連帯し、和解と平和の活動を行なっています。

わたしたちは昨年10月の国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の審査に向けて、当委員会のもとにプロジェクトチームを置き、7本のシャドウレポートを提出しました。

今年1月29日、外務省は国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)が「男系男子」の皇位継承権を定めた皇室典範の改正を勧告したことへの対抗措置として、「国連女性差別撤廃委員会の事務を担う国連高等弁務官事務所(OHCHR)へ毎年拠出している日本の任意拠出金の使途から女性差別撤廃委員会を除外する。2024年度に予定されていた女性差別撤廃委員会の委員の訪日プログラムを見合わせる」と発表しました。

女性差別撤廃委員会は女性差別撤廃条約の履行状況を監視する国連の専門機関です。各国の政府の報告書や市民団体の意見を参考に、女性の人権状況を審査し、改善点を勧告しています。日本は1985年に同条約を締結しています。

女性差別撤廃委員会の勧告は日本政府の報告だけでなく、市民社会の声や差別に苦しむ当事者の声など、さまざまな情報を提供し、日本の課題について報告しました。勧告に対し、その内容が日本政府の意に沿わないからと、国連機関への拠出金の使用制限、委員の来日を見合わせるなど、国連機関の勧告を尊重しない態度は国連人権理事会理事国として信頼を損なうものです。ジェンダーギャップ指数の低さは、日本の女性の人権の低さを示しています。日本国憲法の前文では、「国際社会において名誉ある地位を占めたい」と謳っています。一人ひとりの人権が尊重されてこそ、この前文が実現できるのです。

わたしたちは国連女性差別撤廃委員会への拠出金停止に強く抗議し、国連人権高等弁務官事務所への通告を撤回するよう強く求めます。

日本キリスト教協議会 女性委員会
委員長 北村恵子

国連人権高等弁務官事務所への拠出金停止 矯風会が外務省に抗議 2025年2月18日

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