潜伏キリシタンの信心具を調査 長崎県、来年度から全容把握へ

 

世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本)と関係する信心具について、長崎県は来年4月から調査を始めると4日、明らかにした。現在、そうした信仰具は、各地の博物館や教会、信徒の住宅などに保管されているが、全体像は分かっていない。調査は、それらの点数や所蔵経緯など、全容を把握することが目的で、その結果を基にして国の文化財指定を目指す。

信仰具とは、江戸幕府によるキリスト教禁教期、潜伏キリシタンが儀式をしたり祈りをささげたりする時に使った道具で、「マリア観音」(聖母マリアに見立てた観音像)や「ロザリオ」(祈りの回数を数える数珠状のもの)、「メダイ」(浮き彫りのメダル)、聖画など。

潜伏キリシタンは、集落ごとに「組(くみ)」を作って、洗礼を授ける「水方(みずかた)」や教会暦をつかさどる「帳方(ちょうかた)」などを中心に、キリスト教儀礼や行事を行ってきた。その際、身の回りのものを信心具として代用したり、キリスト像などの信心具を隠し持ったりしていた。このようにしてキリスト教信仰をカモフラージュし、禁教の江戸時代を通して信仰を守り続けてきたのだ。

調査では、それぞれの信心具の大きさを測り、写真で撮影して図面を作る。また、所蔵までの経緯などを記録するとともにデータベース化するという。県は来年度の調査事業として文化庁に補助を申請する予定で、調査期間は3年程度を予定している。

信仰具の中には、実際に信徒によって使われていたという裏づけのないまま保存されているものもあり、所有者から所蔵の経緯に関して聞き取りや文献による事実確認も行う。本物と認められた信仰具については、国の文化財への一括指定を視野に入れている。

県は、6月の世界文化遺産登録前、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)から、その保全を求められていた。

 






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