「英雄」ナポレオンの名前を破り捨てた「楽聖」ベートーヴェン 

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1770年12月16日 ベートーヴェンの誕生日

ベートーヴェンは「楽聖」と呼ばれ、世界で最も有名な作曲家の一人と言えるでしょう。また、40歳頃に完全に聴力を失いましたが、それでもなお精力的に作曲活動を続けた「英雄」としても多くの人の心に刻まれています。ちなみに今年、2020年は彼の生誕250年の記念イヤーということで、様々な催しが行われたようです。コロナウイルスのせいで中止や縮小も多かったとは思いますが。

ベートーヴェンはナポレオン・ボナパルトに共感して交響曲第3番「英雄」を書きました。しかしその曲の完成後、ナポレオンが皇帝に即位したという知らせを聞くと「彼もまた凡人に過ぎなかったか!」と激怒し、彼の名が記された楽譜の表紙を破り捨てたのだそうです。

生涯をカトリック信徒として過ごしましたが、あまり熱心ではなかったらしく、三曲の宗教曲を残している一方で「キリストは磔(はりつけ)にされたユダヤ人にすぎない」と爆弾発言をしたりもしています。ただ、彼は普段から周りの人に対して、優しく接したかと思えば癇癪(かんしゃく)を起こしてものを投げつけたりと、一貫性のない態度をとっていたようですから、このキリストについての発言もどこまで彼の本音なのかはわからないところです。とはいえ、ギリシア思想やインド思想にも興味を持ち、かなり勉強したようですから、いわゆる「盲信的な」信仰は持っていなかったとは思われます。

また、彼がどうして聴力を失ったかについては諸説あり、まだ決定的な説はありません。一説には「本当は聴こえていた」説まであります。しかし彼の残した作品の偉大さはたとえ耳が聴こえていようといまいと、少しも変わらないものであると思います。

それではまた明日。

横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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