世界遺産の黒島天主堂、耐震工事終える 24日から一般公開

世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産「黒島の集落」(長崎県佐世保市)にある黒島天主堂(国の重要文化財)が2年がかりの保存修理・耐震対策工事を終え、23日、「感謝のミサ」と完工式が行われた。24日から一般に公開される。

新型コロナ・ウイルスの影響で、ミサに出席したのは信者の代表ら5人で、カトリック長崎大司教区の高見三明・大司教が司式をした。

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黒島は、佐世保の相浦港から西に15キロ、フェリーで1時間あまりの沖合にある。北松浦半島西岸に連なるリアス式海岸の群島、九十九島(くじゅうくしま)の一つで(島の総数は現在公式には208)、全域が西海国立公園に指定されている。黒島はほかの島から西に離れており、九十九島の中では面積が最大。2015年の国勢調査では、島民は466人で、約80%はカトリック信者。周囲12・5キロ、面積5・3平方キロ。

黒島の航空写真(写真:国土地理院)

「黒島」という島名は、カトリック教徒が多く住んでいたために「クルス(ポルトガル語で十字架の意)島」といわれ、それがなまって「クロ島」になったという説もある。戦国時代後期にキリスト教が伝わり、島の北東部にある古里(ふるさと)地区にはキリシタンが暮らしていた(後にキリシタンが迫害をのがれて離島し、平戸から移住した仏教徒が住んだため、古い集落という意味で「古里」とつけられた)。

江戸時代後期、禁教政策による弾圧から逃れたキリシタンが移住。1865年、長崎浦上のキリシタンが大浦天主堂で信仰を明らかにした「信徒発見」から2カ月後には、早くも黒島の信徒代表およそ20人が大浦天主堂を訪ね、その後、明治時代に信徒らはカトリックに復帰した。

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1878(明治11)年、現在地に木造の初代聖堂が建てられ、97(明治30)年、パリ外国宣教会から主任司祭として赴任したフランス人のマルマン神父の指導・設計と信徒らの献金・奉仕により、現在の聖堂が建設され、1902(明治35)年に完成した。説教台やシャンデリア、洗礼台の彫刻はマルマン神父の手による。98年、国の重要文化財に指定され、長崎県内の教会堂としては大浦天主堂(国宝)に次いで2例目となった。2018年、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産として世界遺産登録が決定。翌年、耐震化と老朽化した部分の修復を目的に改修工事が始まった。

黒島天主堂(写真:Atsasebo)

黒島天主堂は、黒島のほぼ中央に建つ。レンガ造および木造、切妻造、瓦葺(かわらぶ)きのバシリカ型教会堂。間口15メートル、奥行32・6メートル。外観はロマネスク様式が基調とされ、正面にバラ窓、壁面にブラインド・アーケードやブラインド・アーチ(アーケードやアーチ形の装飾で開口していないもの)がある。入り口上に鐘塔があり、フランス製の鐘がつけられている。外壁は大部分がレンガ壁。内部は、柱列によって身廊部と側廊部に分けられる三廊式。今村天主堂と並び最も完成された大規模レンガ造の天主堂と言われている(レンガ造の教会は全国で17棟しかなく、そのすべてが九州、うち16棟は長崎県にあり、黒島天主堂はそのうち4番目に古い建物。レンガ総数は40万個)。現在はじゅうたん敷きだが、以前は畳(たたみ)敷きだった。また、タイルは有田焼を使用し、当時としては豪華な造りだったという。

黒島天主堂内(写真:Torbenbrinker)

13年からの調査により、震度6程度の地震で倒壊するおそれがあると判明した。レンガ造の建造物の耐震補強ということもあり、なかなか着工に至らなかったが、2019年3月にようやく着工にこぎ着けた。耐震化では外観を損なわないよう、レンガの外壁に穴を開け、建物の周囲に計72本のステンレス棒を基礎まで通して固定するなど、補強材を目立たせない工夫がされている。雨漏りのしていた屋根瓦はすべてふき替えられた。崩れていた壁もしっくいを塗り直し、ステンドグラスも修繕した。また、脇の出入り口の地下から四つのロザリオが見つかり、創建時に埋めたものと推測された。総事業費は約5億3000万円で、カトリック長崎大司教区が発注し、国や県、市が9割以上を補助した。

天主堂内部の見学には教会群インフォメーションセンター(095・823・7650)に事前予約が必要。

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