人と人が助け合う優しい社会を目指して 第5回賀川豊彦賞授賞式がオンラインで開催

今年度の授賞式は、遠方の受賞者とzoomでつなぎ、授賞式の様子はYouTubeで配信された

第5回目となる「賀川豊彦賞」授賞式が1月26日、初めてオンラインで行われた。本賞は日本の協同組合の父とも呼ばれ、人と人とが助け合う平和な社会を実現するため、社会的弱者の救済などさまざまな活動を展開した賀川豊彦の志を現代に継承・発展させるため、2016年に公益財団法人賀川事業団雲柱社が設立したもの。例年、東京・世田谷区の賀川豊彦記念松沢資料館で開催されてきたが、2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大を避けるため、ZoomやYouTubeを併用しての開催となった。

本年度は、特定非営利活動法人「チェンジングライフ」、「網地島(あじしま)ふるさと楽好(がっこう)」、「芝園かけはしプロジェクト」、NPO法人「Fine」の4団体が奨励賞を受賞した。

アドラムキリスト教会の主任牧師・野田詠氏(えいじ)氏が代表を務める「チェンジングライフ」は、 児童養護施設退所者や、なんらかの事情で親と暮らすことができない少年たちの生活支援や、自立後のアフターケア事業などを行っている。野田氏は少年時代に非行に走り、少年鑑別所・少年院送致になった経験があり、自身が教会や聖書との出会いを通して人生を変えられた経験から、同じような環境下にある少年たちに手を差し伸べ続けている。

「網地島(あじしま)ふるさと楽好(がっこう)」は、高齢化が進む石巻市網地島地区を舞台に、毎夏行われているサマースクールだ。無料で招待された、仙台市内の児童養護施設で暮らす子どもたちは、島のお年寄りたちと一緒に魚釣りや料理など家族のように暮らす。さまざまな事情で心に深い傷を負っている子どもたちに、愛された記憶を持ち、信頼関係を築く練習をしてほしいという願いから始まったプロジェクトだ。

外国人が居住者の過半数を占める埼玉県川口市の芝園団地で立ち上がった「芝園かけはしプロジェクト」は、学生ボランティアを中心に活動を行う団体だ。言葉や生活習慣、宗教などの違いから起こりがちな住民トラブルを防ぎ、互いに尊重し合いながら生活ができるよう、生活ルールをまとめたハンドブックを作るなど、外国人住民と日本人住民をつなぐために奔走している。

NPO法人Fineの理事長・松本亜樹子さん

NPO法人「Fine(ファイン)」は、日本ではまだまだ理解されにくい不妊や不妊治療が社会に正しく理解されるために、不妊治療当事者へのサポートや、不妊(治療)の啓発活動、公的機関や医療機関への働きかけなど、18年にわたって活動をしてきた。2018年には当事者5526人に実施したアンケートをまとめた『不妊白書2018』を作成。同じように悩む人々を中心に、深い共感を得ている。

賀川豊彦が活動していた時代と比較すると豊かになったように思える現代社会だが、貧富の格差や互助精神の希薄化など、さまざまな形で根深い問題を抱えている。賀川豊彦賞は、現代社会において国や地域社会の将来を展望し、先駆的なプロジェクトを立ち上げ、社会活動を展開している団体・個人を顕彰している。詳細は同法人のホームページを参照。

 






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