今日7月10日は前田敦子の誕生日。2012年、女性アイドル・グループAKB48を卒業し、現在は女優として活躍しています。
濱野智史『前田敦子はキリストを超えた──〈宗教〉としてのAKB48』(ちくま新書)は卒業した年に刊行されました。
たかだか10代の少女が、自分のアンチと向き合わなければならないということが、どれだけ辛いことか。……「私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください」……。この、自らを切り裂くような悲痛なまでの願いに、AKBヲタは震撼せざるをえない。その徹底した利他性に感染せざるをえないのだ。(48頁)
「人は利他性にしか感染しない」というけれども、まさにこのあっちゃんの利他性に満ちた言葉こそが、彼女をAKBにおけるキリスト的存在にまで高めた瞬間であると、いうことができる。(36頁)
比喩的にいうならば、AKBの総選挙は現代の「ゴルゴタの丘」であり、センターは 「十字架のキリスト」なのだ。その彼女たちの壮絶なマジに感染するからこそ、私たちは彼女たちを「推す」のだ。AKBという宗教の信者、すなわちラタになるのである。(39頁)
世俗的になっている日本で、アイドルやシンガーのコンサートは宗教的祭典の観があります。確かに「AKB信者」や「ジャニーズ信者」などはおり、応援の域を超えて、その言葉や一挙手一投足に感動したり涙を流したり、CDやDVD、グッズなどに「献金」をしたりします。その信仰心は、キリストを信じるクリスチャンより熱いかもしれませんね。