日本ホーリネス教団、外出自粛などの要請が出た地域では教会に集まらないで

 

日本ホーリネス教団は3月26日、島津吉成(しまづ・よしなり)委員長(辻堂キリスト教会牧師)と佐藤信人(さとう・のぶひと)総務局長(仙台南光沢教会牧師)との連名で、「新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受けてのお願い」の第3報を発表した。所属教会の「全国の牧師先生方へ」宛てて、「外出自粛等の要請が出た地域は、教会に集まらない形を取るようにお願いします」と指示した。

すでに3月中旬の時点で、東京聖書学院教会などいくつかの教会では、通常の礼拝を中止し、インターネットを利用して礼拝のライブ配信を行っているが、なおいっそう礼拝を休止しなくてはならない教会が増えることを見越してのことだ。

島津吉成委員長(辻堂キリスト教会のホームページから)

この第3報は、東京都が3月25日、「週末に不要不急の外出を控えるように」との要請を出したことを受けて出されたが、「今後、他の地域でも同様の外出自粛要請が出されることが考えられます」。実際に政府の専門家会議が4月1日、かなり踏み込んだ提言をして、多くの教会が礼拝に集まることを考え直さないといけない事態になっている。

専門家会議で提言されたのは、東京や大阪などの「感染拡大警戒地域」では10人以上の集会を避け、感染者が一定程度増えている「感染者確認地域」では、屋内での50人以上の集会の参加を控えるようにというものだ。現在、感染者が確認されていないのは岩手県と鳥取県、島根県の3県だけとなり、自分の教会のある都道府県がどういう状況にあるかによって、礼拝休止の判断が迫られることになる。

同教団では、礼拝を休止するにあたってのジレンマを次のように表現している。「私たちキリスト者にとって、礼拝はいのちの源であり、何ものによっても妨げられるべきものではありませんが、その一方で、教会員だけでなく、その家族や一般市民にも感染リスクを与えるような行動は控えるべきであろうと思います」

また、教会が陥りやすい危険性についても、3月14日付の第2報でこのように自戒している。「このような大災害や大きな危機に直面したとき、いわゆる〈正常性バイアス〉というものが働いて、『自分たちは大丈夫』『世間は大騒ぎしすぎだ』という認識のもと、適切な危険回避行動を取ることを遅らせ、結果的に被害を大きくしてしまうことがあります。特に、信仰に生きる私たちは、この〈正常性バイアス〉を持ちやすい者たちです。しかしながら、教会は、教会員を感染から守るためにも、正しい認識のもと、感染リスクを出来るだけ抑えるように対処することが必要となります」

礼拝を休止した場合、「インターネットを利用しての礼拝ライブ配信、説教文書をメールやFAXで配付する、メッセージを録音した音声ファイルをクラウドにアップする等、それぞれの教会にとって取り得る対応をご検討ください」と伝えるとともに、「独自の対応が困難な教会」は、ユーチューブによるライブ配信を行っている東京聖書学院教会八王子教会などの礼拝を見ながら礼拝を守るように案内した。

同教団では、まず2月28日付で「新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受けてのお願い」を出し、続けて3月14日付で「新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受けてのお願い」第2報を通知した(それぞれの全文も以下に掲載する)。

日本ホーリネス教団は、戦前の日本ホーリネス教会(1917年に中田重治が創設した)の流れを汲む教団。戦時中、日本基督教団として合同されたが、その信仰が天皇制を否定するものとして解散させられた。戦後、教職に復職した伝道者らが日本基督教団から49年に離脱して設立された。聖書信仰、四重の福音(新生・聖化・神癒・再臨)、聖潔(きよめ)を旗印とする。

新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受けてのお願い(第3報)」の全文は以下のとおり。

新型コロナ・ウイルスの感染がさらに拡大し、収束の見通しが全く立たない状況が続いています。各教会や教区におかれましては、4月からの新年度の活動をどのようにすべきか苦慮しておられることと思います。

そこで、今後の対応策につきまして、教団としての指針を下記のように提示しますので、それぞれの状況に応じて、適切な対応を取ってくださるようにお願いいたします。

1 教団本部各局・各委員会の会議等について

・感染が落ち着くまでは、当面の間は集まっての会議は控え、インターネットを用いての会議に切り替えてくださるようお願いします。教団総会で利用しましたZoomによる会議を希望する局や委員会は、総務局[jhc-honbu@jhc.or.jp]までご相談ください。

2 教区の諸活動について

・4月に入り、教区の牧師会や教区総会等の開催を予定している教区も多いことと思います。すでに教区会の中止を決定された教区もあるようです。感染の状況が地域によって異なりますので、全国一律に同じ決定を強いるわけには参りませんが、教区の諸集会も、どうしても顔を合わせなければならない特別な事情がある場合を除いて、集会そのものを中止するか、あるいはインターネットを利用しての会議に変更してくださるようお願いいたします。

・特に、聖会など大勢の人数が集まる集会は、影響の大きさを鑑(かんが)みて、勇気をもって中止(あるいは延期)してくださるよう強く要請いたします。

3 兼牧の奉仕について

・兼牧をしておられる先生方の中には、かなり遠くの教会の兼牧をしておられる先生方、あるいは比較的近隣であっても、公共交通機関を利用して奉仕に行く先生方がおられることと思います。その移動に伴い、様々な場所に感染リスクが存在しますので、感染が落ち着くまでは、兼牧先の教会での奉仕を見合わせるという対応も検討してくださいますようお願いいたします。

4 感染者が出た場合の対応について

・残念ながら関係者の中に感染者が出てしまった場合、礼拝を含む全ての集会を休止し、管轄の保健所の指示に従ってください。

・新型コロナ・ウイルス感染症は指定感染症になっており、無症状であっても指定医療機関への入院措置となります。もし牧師、教会員、関係者の誰かに感染者が発生した場合、教会の行動は、教会で決めることはできず、保健所の指示に従うようになります。関係者が濃厚接触者となった場合も同様です。

・もし、感染者が出た場合、速やかに総務局[佐藤信人局長:TEL022-234-5385(仙台教会)、松島信人主事:TEL03-3838-8194(綾瀬教会)、電子メール:jhc-honbu@jhc.or.jp]までご連絡くださるようお願いいたします。

5 外出自粛要請などが出された場合の対応について

・東京都は3月25日、「週末に不要不急の外出を控えるように」との要請を出しました。今後、他の地域でも同様の外出自粛要請が出されることが考えられます。

・私たちキリスト者にとって、礼拝はいのちの源であり、何ものによっても妨げられるべきものではありませんが、その一方で、教会員だけでなく、その家族や一般市民にも感染リスクを与えるような行動は控えるべきであろうと思います。

・それゆえ、外出自粛等の要請が出た地域は、教会に集まらない形を取るようにお願いします。インターネットを利用しての礼拝ライブ配信、説教文書をメールやFAXで配付する、メッセージを録音した音声ファイルをクラウドにアップする等、それぞれの教会にとって取り得る対応をご検討ください。

・なお、東京聖書学院教会、八王子教会などはYouTubeによるライブ配信をしていますので、独自の対応が困難な教会は、それらをご利用くださるようご案内いたします。

*学院教会:https://www.youtube.com/channel/UCVEG4iKAFJnAhvV5MHVsLlA

*八王子教会:https://www.youtube.com/channel/UC7K59AtRf2Czng187qdDXPw

御子キリストを与えるほどにこの世を愛された神が、私たちの世界を深く憐れんでくださり、感染の拡大をとどめてくださるように。また、医療従事者をはじめとする多くの方々の働きが支えられますようにお祈りいたします。

皆さまの教会の上に、主の守りと祝福がありますようお祈りいたします。

3月14日付の「新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受けてのお願い(第2報)」の全文は以下のとおり。

新型コロナ・ウイルスの感染拡大がさらに広がり、収束の見通しが立たない状況が続いています。先生方の教会におかれましても、礼拝を始めとする諸集会の対応に苦慮しておられることと思います。対処方法を間違えますと、教会がクラスター(集団の感染)の発生源となる可能性も十分にありますので、正しい理解のもと、適切な対応を取っていただきますようにお願いいたします。

このような大災害や大きな危機に直面したとき、いわゆる〈正常性バイアス〉というものが働いて、「自分たちは大丈夫」「世間は大騒ぎしすぎだ」という認識のもと、適切な危険回避行動を取ることを遅らせ、結果的に被害を大きくしてしまうことがあります。特に、信仰に生きる私たちは、この〈正常性バイアス〉を持ちやすい者たちです。しかしながら、教会は、教会員を感染から守るためにも、正しい認識のもと、感染リスクを出来るだけ抑えるように対処することが必要となります。

新型コロナ・ウイルス対策の専門家会議の見解によりますと、感染リスクを抑えるために、次の「3つの条件の重なり」を避けるように勧められています。

(1)換気の悪い密閉空間
(2)多くの人が密集
(3)近距離での会話や発声

この3つが重なりますと、クラスターが発生する可能性が高くなります。教会における礼拝などは、この3つの条件が揃っている場所となります。そこで、教会がクラスターの発生源とならないために、次の3つの対応が必要です。

(1)換気を行う。(可能であれば2つの方向の窓を同時に開ける)
(2)人の密度を下げる。(互いの距離を1、2メートル程度あける)
(3)近距離での会話や発声などを避ける。(やむを得ない場合はマスクをつける)

このような厚生労働省の指針に沿って、すでに東京聖書学院教会をはじめとして、通常の礼拝を中止し、インターネットを利用してのライブ配信に切り替えている教会もあります。

そこで、具体的な対応策としましては、

・会衆だけでなく、司会者も説教者もマスクを着用する。
・賛美は歌わない、あるいはマスク着用のまま小さな声で歌う。
・使徒信条、主の祈りは、司会者が代表して朗読する。
・礼拝時間を短縮するために、賛美の数を減らしたり、交読文を取りやめたりする。
・しばらく聖餐式は延期する。
・インターネットを利用できる場合は礼拝をライブ配信し、対応可能な教会員は自宅にて礼拝をささげてもらい、少しでも礼拝の密集度を下げる。

以上のような対応を参考にしていただいて、それぞれの教会で適切と思われる対策を取っていただけたらと思います。

連日報道されていますので、皆さまもすでにご存知のことと思いますが、「感染していないから大丈夫」というのは、決して正しい認識ではありません。教会に集まる全ての人がPCR検査を受けて陰性と判明したわけではなく、「症状が出ていないから感染していないだろう」という推測に基づいて判断しているに過ぎません。新型コロナ・ウイルスの潜伏期間は1~14日と言われますので、実際には、感染していても今は症状が出ていないだけという場合もありえます。問題は、症状が軽い場合でも、時には無症状であっても、感染源となりうることです。

教会が取るべき危機管理としましては、「誰も感染していないだろう」という楽観的な仮定のもとで対処するのではなく、「現時点では症状は出ていないけれども感染している人がいるかもしれない」という前提のもとで、感染拡大をできるだけ抑える対応を取っていただくようにお願いいたします。特に、教会は高齢の方々が多く集まりますので、ご注意をお願いいたします。

このようなお知らせは、過剰に反応し過ぎと感じる方もおられるかもしれませんが、教会のそれぞれの地域における社会的責任、そして感染が発生した場合のその後の影響の大きさを考えますと、慎重過ぎるぐらいでちょうどいいものと考えますので、どうぞよろしくお願いいたします。

レントのときを過ごしておりますが、御子キリストを十字架につけるほどにこの世を愛された神が、私たちの世界を憐れんでくださり、これ以上の感染の拡大をとどめてくださいますように。また、このために懸命に働いておられる医療従事者の方々、保健所をはじめとする厚生労働省の方々の働きが守られますようにお祈りいたします。

皆さまの教会の上に、主の守りと祝福がありますようお祈りいたします。

2月28日付「新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受けてのお願い」の全文は以下のとおり。

連日報道されておりますとおり、新型コロナ・ウイルスの感染が拡大を続けております。2月27日には、政府より感染拡大を食い止めるための更なる協力が呼びかけられ、公立のすべての小中高校を臨時休校にするように要請が出されました。

これを受けて、全国の各教会においても、定期集会等についてどのような対応をしようかと苦慮しておられることと思います。そこで、教団からのお願いという形で指針となるものを提示させていただき、各教会で判断するための材料としていただければと思います。

1 定期集会について

①主日礼拝について

・礼拝は教会のいのちに関わることですので、特別な場合を除き、「礼拝中止」をこちらから要請することはありません。しかし、かなり近い距離で一定の時間を共にするために、「濃厚接触」に類するものですから、細心の注意を払う必要があります。その注意点につきましては、下記の「2 集会を行うときに留意すべき点」をご覧ください。

・聖餐式では、パンと葡萄(ぶどう)液を準備される方は特に、また配餐奉仕者も聖餐にあずかる方も、手洗いや手の消毒を徹底してください。また、配餐奉仕者が会衆の間をパンと葡萄液も持って配る配餐の仕方をとっている教会はご注意いただき、別の方法を考えてみるのも必要かと思います。

・上記の「特別な場合」とは、教会の中で牧師や信徒の方が感染してしまった場合のことですが、この場合は、最低2週間は教会の全ての集会を中止していただくようにお願いいたします。また、その旨を教区長をとおして教団総務局にご連絡くださるようお願いいたします。

・礼拝の様子を動画配信サービス(Ustream、YouTube等)によってライブ中継することが可能な教会は、それらをも活用してくださって対応してくださるようお勧めいたします。

②祈祷会等の集会について

・礼拝以外の各集会につきましては、状況によってはしばらくお休みすることもどうぞご検討ください。教会によって、集会に集う方々の人数や交通手段等がかなり違いますので、教団として一律に「このようにしてください」という指針を出すことはできませんが、くれぐれも教会員の方々の感染リスクを最小限に抑えるように、各教会で適切な措置を取ってくださるようお願いいたします。

③教会学校(CS)について

・昨日の報道にありましたように、全国の全ての公立の小中高校が臨時休校となりますので、これに合わせて、しばらくの期間は教会学校(CS)もお休みいただくように、ぜひご検討ください。これは、子どもたちを守るだけでなく、牧師家族やCS教師を守るためでもありますので、よろしくお願いいたします。

2 集会を行うときに留意すべき点

・礼拝等の各集会に集う際、発熱のある方、熱がなくとも風邪症状(鼻水、喉〈のど〉の痛み、咳〈せき〉、痰〈たん〉など)がある方、倦怠感のある方などは出席を控えるようにお伝えください。特に、ご家庭に高齢者や病気の方がおられる方など、そうでなくても集うことに心配をお持ちの方が遠慮なく休めるように、環境を整えてくださるようにご配慮をお願いいたします。

・会堂の入り口にはアルコール消毒剤などを設置し、各自が手を消毒してから中に入るように、消毒剤が手に入らない場合は、手洗いを励行するようにお願いいたします。

・集会中はマスク着用を推奨するようにお伝えください。高齢者の中には、説教中にマスクを着用していては失礼になる、と考える方もおられるかと思いますが、ご指導いただければと思います。

3 その他

・感染が落ち着くまでのしばらくの間は、会食や祝会などは飛沫感染の恐れがありますので、控えていただくのがよいと思います。

・上記以外のさまざまな事柄につきましては、地域によって感染の広がり具合が異なりますので、対応の方法も違ってくると思います。それぞれの教会の判断にお任せしますが、教会の方々を感染のリスクから守ること、また地域への感染の拡大を食い止めることに私たちも協力する、そのような観点から適切な対応を取ってくださるようにお願いいたします。

独り子をお与えになるほどにこの世を愛された主なる神が、私たちの世界を憐れんでくださり、これ以上の感染の拡大をとどめてくださいますように。また、このために懸命に働いておられる医療従事者の方々、保健所をはじめとする厚生労働省の方々の働きが守られますようにお祈りいたします。

皆さまの教会の上に、主の守りと祝福がありますようお祈りいたします。

 






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