【インタビュー】本郷台キリスト教会牧師、池田恵賜さん スポーツと若者と教会と(後編)

前編を読む)

あるとき、「サッカー・フェスティバル」のために共に働いていた宣教師から、「オルテガという人が日本に来ているから会ってほしい」と電話がかかってきました。当時の私は知らなかったのですが、元アルゼンチン代表のホルヘ・アルベルト・オルテガさんがこの教会にやって来たんです。

池田恵賜さん

「アルゼンチンで牧師に『日本へ行きなさい。やるべきことが示されるだろう』と言われ、来日しました。ところが、何をしたらいいか分からない。そこで、日本でただ一人の知人である宣教師に相談したところ、あなたを紹介されたのです」

そう言われて私は、先日行われた「サッカー・フェス」のことや、「これからどうしたらいいのか、神様に祈っていたところでした」と話すと、彼は次のような証しをしてくれたのです。

「たくさんの日本の若い人たちが自殺をするというニュースを見たことがあります。アルゼンチンでは、どんなに貧しくても、10代の子には夢と希望しかありません。しかし日本では、人生に失望して死を選ぶ子がいると聞いて胸が痛みました。そこで私は神様に、『あなたが与えてくださったサッカーという賜物(たまもの)を通して、日本の子のために何か働かせてください』と祈っていたんです」

それを聞いたとき、神様が私たちを出会わせてくださったんだと確信しました。

その後、オルテガさんを監督に迎え、2003年に開いたのが「エスペランサSC(スポーツ・クラブ)」です。現在、小学生から大人まで、350~400人が所属しています。プロを目指している子も多く、アスリート候補と言っていいほどレベルの高い子も少なくありません。

エスペランサでは、練習や試合の前後には必ずお祈りをしています。あるとき、練習に来る途中だった子が交通事故で大怪我(おおけが)をしたことがあり、その時には、仲間たちが手を取り合って祈っていたということがありました。

エスペランサSCを通して教会へ通うようになった子や洗礼を受けた子や家族もいます。ただ、そうでなくても、多感な時期に、祈ることや唯一の神様がおられること、「あなたを愛している神様がおられる」というメッセージを聞きながら成長していくことには大きな意味があると思います。

2019年のフェスティバルで

世界中にはクリスチャンのプロ・スポーツ選手がたくさんいます。彼らがインタビューを受けた際、「イエス様が私の力です」と主を賛美したり、感謝をささげたりすると、それを見た子どもたちは学校で、「昨日活躍したあの選手と僕は同じ神様を信じているんだ」と証しをするんだそうです。子どもたちにとっては大きなインパクトですよね。

スポーツ・ミニストリーに関わるようになってから、「海外にあって日本にないものは何か」と改めて考えることがあります。それは、神様のことを愛し、スポーツの能力も与えられている子たちが育っていく土壌がないということではないでしょうか。「信仰かスポーツかを選びなさい」ではなく、「スポーツを通して神様の栄光を現しなさい」と言ってあげられる土壌を私たち大人が作っていかなくてはいけないと思うのです。

私は、一人ひとりが宣教師だと考えています。私は牧師として教会に遣わされていますが、それと同じように信徒も、会社や家庭、学校など、それぞれの場所に遣わされている宣教師です。子どもたちも部活やスポーツに遣わされている。そうしたメッセージや、世界で活躍しているクリスチャンの選手、元選手たちの存在を伝えていきたいです。

サッカー以外にも、野球や卓球、ラグビーなど、スポーツ・ミニストリーの働きは広がっています。面白いのは、私自身がスポーツをまったくやらないという点でしょうか(笑)。観戦は好きですが、何かの競技の特別なファンというわけではありません。スポーツ・ミニストリーをきっかけに、いろいろなスポーツ選手に会いますが、そのすごさがよく分かっていないこともあって、どの選手にも普通の人と同じように接します。だからこそ、私がスポーツ・ミニストリーに遣わされているのかもしれませんね。

 






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