世界食料デー(10月16日)を迎えるに当たって、改めてSDGsの2番目の目標である「飢餓をゼロに」について考えましょう。
国連は、2020年に世界の飢餓状況が劇的に悪化したと発表しました。その主な原因は、新型コロナウィルスの影響であると考えられています。コロナの影響はまだ完全には把握できていませんが 、複数の機関の報告書によると、昨年は世界人口の10人に1 人にあたる最大8 億1,100万人が飢餓に苦しんでいたと推定されています。
その半数以上はアジアに、3 分の1 以上はアフリカに暮らす人々です。飢餓が最も急増したのはアフリカで、栄養不足蔓延率は他の地域の2 倍以上になっています。
他の指標においても、2020年は厳しい結果となりました。重度の食料不安を抱えている人は9億2,800万人(世界人口の12%)で、前年より1億4,800万人増えました。また、23億7,000万人(3 人に1 人)は適切な食事(必要な栄養素を満たす食事)を摂ることができず、これはたった1 年で3億2,000万人の増加となっています。健康的な食事は高くつき貧しい人々にとっては手が届かないものであり、30億人が健康的な食事をする経済的な余裕がないとされます。
栄養不良は特に子どもへの影響が深刻です。2020年には、1億4,900万人の5 歳未満児が発育阻害(年齢に対し身長が低すぎる)、4,500万人以上が消耗症(身長に対し痩せすぎている)、また3,900万人近くが過体重(栄養バランスの偏り)であると推定されています 。
食料不安や栄養不良の主な要因は、紛争、気候変動、経済危機(コロナで更に悪化)などです。これらは今後も続くと考えられ、2030年までに栄養に関する指標の目標は世界的にみて何一つ達成できそうにありません。
同じ国連の報告書では、フードシステム(食料の生産から流通・消費までの一連の流れ)の変革に向けて、6つの経路(紛争、気候、経済、サプライチェーン、貧困、食事パターン)を特定し、飢餓の増加やあらゆる形の栄養不良の背後にある要因に対処するための提言を行っています。また、変革を実現するために、政策立案者には、広く意見を聞くこと、女性や若者の後押しをすること、データや新技術の利用可能性を拡大することを求めています。そして何よりも、世界が今すぐ行動を起こすことを訴えています。
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ハンガーゼロは、フードシステムの変革や安全な環境すなわち紛争の解決が求められるだけでなく、工業先進国に暮す私たちが、途上国の人々の暮らしと私たちの生活の仕方に密接な関係があることに目を向け、自分さえ良ければという考えを変革すること、そして行動を起こすことが求められると考えます。
少しでも飢餓に苦しむ人々を支援し励まし続けることができれば、人々が自分の力で飢餓を克服できる希望が生まれ、SDGsの2 番目の目標実現にむけて前進することができます。このことがハンガーゼロの願いでもあります。
資料:「世界の食料安全保障と栄養の現状・SOFI2021」
5 つの国連機関(FAO、 IFAD、UNICEF、WFP、WHO)が共同で制作