聖書を通読するコツは? 平岡正幸 【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】

Q.聖書の通読にチャレンジしているのですが、どうしても途中で挫折してしまいます。(30代・男性)

私も初めて聖書全体の通読を志したとき、何度も挫折した覚えがあります。最初から読んでいってもなかなか進まないので、その分量に根負けしてしまいます。旧約聖書では書かれている時代の背景や人名の多さで筋が分からなくなってしまう、ということもあります。さまざまな挫折する理由があると思います。

聖書のある入門書に書いていたことでした。その入門書は聖書全体の通読をする前に、短い聖書物語を読んでみることを勧めていました。私が選んだ聖書物語は山室静香著「聖書物語」(今では古書でしか入手できないようです)でした。

最近では数多くの聖書物語がありますがなるべく短いものがよいと思います。聖書物語ならすぐに最後まで読むことができますし、聖書全体を見渡し、さらに聖書全体を通読したいという気持ちが強くなります。

そして通読に当たっての工夫も必要です。私がお勧めしたいのは、毎日、旧約を3章、新約を1章、詩篇を1篇読んでゆくことです。旧約と新約を同時に読み進んでゆくことがポイントです。ことに最後は詩篇を読むことで、おのずと祈りに導かれます。そのようにして私は最初の通読を終えました。この通読の仕方でゆけば約1年で読むことができます。ただし詩編(150編)は祈りに導かれるために読みますので、1年で1回通読なら2度読むことになります。テンポを速めたいなら、その倍にすればよいのです。

途中で挫折しないための良い方法は、という質問ですが、通読を何度か続けるうちにもっと知りたいという気持ちも出てきます。そのためには聖書のガイドブックや聖書辞典を常に座右に置いて読まれるとよいと思います。知りたいときにさっと調べることがコツです。そして日々の通読は神様への祈りに導かれる、このことが大切です。神様への祈りが必ず最後まで通読できるように導き、命の糧となって神様の恵みに満たされます。

また教派によっては聖書日課を用いているところがあります。日課表どおりに読んでゆけば、聖書全体にわたり日課の周期3年や4年で読むことになります。日課による通読を手助けする発行物も出版されています。

聖書通読は、信仰生活の基本です。以上の助言があなたに役立ちますように、主に願います。

 ひらおか・まさゆき 1950年、福岡県生まれ。日本ルーテル神学大学神学部(現ルーテル学院大学)、日本ルーテル神学校卒業。83年より日本福音ルーテル教会牧師。85年から統一協会、94年にはオウム真理教信者の脱会支援に着手するなど、長くカルト問題に取り組み、カウンセリング活動を続けた。共著書に『マインドコントロールからの解放』(三一書房)、『啓示と宗教』(サンパウロ)など。2009年、58歳で逝去。

【既刊】『教会では聞けない「21世紀」信仰問答I -まずは基礎編』 上林順一郎監修

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