ふゆき・とおる 12月26日、誤嚥性肺炎のため逝去。89歳。葬儀は近親者のみで行った。喪主は妻の良子さんと長女の和可女さん。作曲家として「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」など、ウルトラシリーズの音楽を担当し、円谷特撮サウンドの礎を築いたほか、映像音楽の世界のみならず賛美歌や合唱曲、室内楽まで多彩な音楽を手がけた。
1935年、旧満州国新京生まれ。エリザベト音楽短期大学作曲科卒業(一期)、同大宗教音楽専攻科修了、国立音楽大学作曲科卒業。56年にラジオ東京(現TBS)へ音響効果マンとして入社。61年にラジオ東京を退社後、「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」などウルトラシリーズの音楽を数多く手がけ、地球防衛隊のテーマ曲(通称「ワンダバ」)など、その後の特撮シリーズに多大な影響を与えた円谷サウンドを生み出し「ウルトラ音楽の父」とも呼ばれた。64年から桐朋学園大学音楽学部・作曲理論科で33年間教鞭をとる。
NHKの連続テレビ小説『鳩子の海』(74~75年)や世界名作劇場シリーズ『牧場の少女カトリ』(84年)の音楽も手がけた。
クリスチャンで、本名の蒔田尚昊(まいた・しょうこう)名義で、賛美歌「ガリラヤの風かおる丘で」や合唱曲「黙示録によるモテット」、オルガン曲「黙示録による幻想曲」などの現代音楽作品を発表。1954年、広島市内にある世界平和記念聖堂にケルン市からパイプオルガンが寄贈された際、エリザベト音大の学生だったことから設置を手伝ったのを機にオルガンと出会い、グレゴリオ聖歌を含む西欧古典音楽の基礎を学ぶ。米軍キャンプ内で聖歌隊の伴奏をオルガンで弾くこともあったという。
1970年、大阪万博のキリスト教(バチカン市国)館オルガンコンクール作曲部門で最高位を受賞(「オルガンのための黙示録による幻想曲」)するなど、日本のオルガン音楽に多大な影響を与えた。日本グレゴリオ聖歌学会会員。