今日2月16日は岡野貞一(おかの・ていいち)の誕生日。学校唱歌「故郷(ふるさと)」「春が来た」「春の小川」「朧月夜」「紅葉(もみじ)」などの作曲者です。
1892年、14歳の時に鳥取教会(現在の日本基督教団)で洗礼を受け、翌年、岡山教会(同)で宣教師からオルガンの演奏法を習いました。95年には上京して東京音楽学校(現在の東京藝術大学)に入学、1900年に卒業します。その後、32年に退官するまで東京音楽学校で指導に尽力。18年から文部省編纂の尋常小学唱歌の作曲委員を務めました。また、上京後は本郷中央教会(同)でオルガニストをし、聖歌隊も指導しました。
また、今日2月16日は聖ニコライ祭。日本ハリストス正教会を設立したニコライが日本の地で永眠した日です。
東京・お茶の水にある通称「ニコライ堂」(正式名称は「東京復活大聖堂」)はさまざまな作家にも親しまれてきました。「霧雨のニコライ堂の屋根ばかりなつかしきものはまたとあらざり」と宮沢賢治は歌い、「隣り住む南蛮寺(なんばんでら)の鐘の音(ね)に涙のおつる春の夕暮れ」と与謝野晶子は詠みました。
代助は面白さうに、二三日前自分の観に行つた、ニコライの復活祭の話をした。御祭が夜の十二時を相図に、世の中の寐鎮(しづ)まる頃を見計つて始る。参詣人が長い廊下を廻つて本堂へ帰つて来ると、何時(いつ)の間にか幾千本の蝋燭が一度に点いてゐる。法衣(ころも)を着た坊主が行列して向ふを通るときに、黒い影が、無地の壁へ非常に大きく映る。(夏目漱石『それから』)