4都府県に発令された緊急事態宣言が5月31日まで期間延長になったことに加え、対象地域が拡大されました。いま、このページを読んでくださっている皆さまは、どんな日常を過ごされていますか?
最近ではオンラインでの取材が中心になりつつあり、自宅で過ごす時間が増えたので、聖書に登場するレンズ豆とひよこ豆を使ってスパイスからカレーを作ってみました。
今回、私が用意したスパイスはクミンやマスタードシードなど4種類。油で炒めて香りを引き出す“テンパリング”をしながら思い出したのですが、クミンも聖書の時代から栽培されていた植物です。新約聖書「マタイによる福音書」には、パリサイ人がクミンを税金として納めていたと書かれています。
偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。はっか、いのんど、クミンなどの薬味の十分の一を宮に納めておりながら、律法の中でもっと重要な、公平とあわれみと忠実とを見のがしている。それもしなければならないが、これも見のがしてはならない。
[マタイによる福音書 23:23 口語訳]
ちなみに、レンズ豆が初めて登場するのは、旧約聖書の創世記です。登場人物はエサウとヤコブ、双子の兄弟。ある日、猟から戻り、疲れ切ってお腹を空かせていた兄エサウは、弟ヤコブが作っていたレンズ豆の煮物を見て食べさせてほしいと懇願します。「長子の権利を譲ってくれるなら」と答えたヤコブに対し、エサウは「長子の権利などどうでもよい」と言って、神様から大きな祝福を得るとされる長子の権利を譲ってしまうのでした。
ヤコブはエサウにパンとレンズ豆の煮物を与えた。エサウは飲み食いしたあげく立ち、去って行った。こうしてエサウは、長子の権利を軽んじた。
[創世記 25:34 新共同訳]
レンズ豆はほかの豆と違って、ひと晩漬け込む手間が要らないのが魅力。疲労回復効果が期待できるビタミンB群や鉄分、食物繊維が豊富に含まれていたりと栄養価抜群。素朴で優しい味わいで、煮込むほどとろみが出てポタージュ状になります。カレーにせずとも、玉ねぎなどの野菜と一緒に煮込んだスープもおすすめ。イエス・キリストの生まれ故郷であるイスラエルでは、レンズ豆のスープは日本のお味噌汁的存在として親しまれています。
もう一つのひよこ豆。7000年以上前から食べられていたといわれる植物で、亜鉛や葉酸、タンパク質、食物繊維などが豊富に含まれています。
実は、聖書にはっきり記されているわけではないのですが、家畜の飼料として使われていたのではないか、旧約聖書のサムエル記で“炒り豆”と訳されているものがそれではないか、はたまた、旧約聖書のルツ記に登場するヘブライ語の“hometz”という言葉が、ひよこ豆をすりつぶした中東料理「フムス」を指すのではないか・・・など諸説あるようです。
現代を生きる私たちには本当のところはわかりませんが、イエス・キリストやパウロもレンズ豆やひよこ豆を食べたかもしれないなぁ・・・なんて想像すると、ちょっとわくわくします。
いろいろなお店にカレーを食べに行きたいところですが、もうしばらくこの状況は続きそうです。
どうぞおうちで過ごすひとときを楽しんでくださいね。