日本基督教団カルト問題連絡会は1月20日、解散命令請求が出された世界平和統一家庭連合(旧統一協会)のメンバーが教会や牧師を訪ね、「信教の自由」を口実に「同じ宗教者として協力してほしい」と接触する事例が複数報告されていることを受けて、「安易に協力しないよう」呼びかける注意喚起を発表した。
同連絡会は、「信教の自由」は「信じる自由」と「信じない自由」の両方が尊重されて成立するとし、偽装勧誘や霊感商法・霊視商法に見られる統一協会の「悪質な手口は、明らかに『信じない自由』を奪い、個人の自己決定権を侵害するもの」と非難。「『営業の自由があるから、企業の営業停止処分は不当である』という主張を安易に支持してしまった場合、悪徳企業が放置され、かえって健全な営業が脅かされるように、『信教の自由があるから宗教団体の解散命令は不当である』という主張も、安易に支持してしまうことで、反社会的な宗教団体が放置され、かえって健全な宗教活動が脅かされる恐れがあります」と警鐘を鳴らした。
その上で、「解散命令請求を受けた団体が、『信教の自由を守る』という名目で、理解や協力を求めるとき、処分の目的を意図的に歪ませ、自分たちを擁護することに加担させようとしてないか、宗教者も、教育者も、メディア関係者も、慎重に見極める責任があります」と指摘。
昨年11月、カトリック中央協議会、在日大韓基督教会、日本イエス・キリスト教団、日本基督教団、日本聖公会、日本バプテスト連盟、日本福音ルーテル教会、日本キリスト教協議会が連名で出した「世界平和統一家庭連合(旧・統一協会)に対する解散命令請求に関する声明」を引用しつつ、「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する『破壊的カルト』」と認識された統一協会への姿勢を改めて強調した。
同連絡会は同時に、「カルト団体の接触に関する注意喚起(新天地)」「カルト対策に関する各学校へのお願い」も日本基督教団のサイト上に掲載した(https://uccj.org/news/50498.html)。
統一協会をめぐってはこの間、「クリスチャントゥデイ」を擁護する論陣を張ってきた溝田悟士氏(言語聴覚士)が、統一協会系メディアの「宗教新聞」に「家庭連合の解散命令請求について キリスト教徒の兄弟姉妹へ」と題して寄稿し、「キリスト教徒としてどのように家庭連合と接していくか、団体としての『死刑』に匹敵する解散命令を喜ぶことは、明らかに聖書に反している」などと主張したほか、統一協会側に都合よく利用される牧師らの言説が散見されている。
「注意喚起」の全文は以下の通り。
「信教の自由」を名目にした旧統一協会の接触に関する注意喚起
昨年、文部科学省から、東京地方裁判所に世界平和統一家庭連合(旧統一協会)の解散命令請求が出されて以降、旧統一協会のメンバーが、キリスト教会や牧師を訪ね、「行政から宗教団体に対して解散命令を行うことは、信教の自由に反する不当な行為である」「信教の自由を守るために、同じ宗教者として協力してほしい」というように、団体の擁護を求めて接触してくる事例が、複数報告されています。
確かに、あるものを信じることや、宗教活動そのものを制限するために、国家が宗教団体の解散命令を行うのであれば、これは不当な行為です。しかし、その団体が、宗教活動という名目で、不法行為や人権侵害を行っているのであれば、法人格を持たせたまま放置することこそ、信教の自由の侵害をもたらします。
なぜなら、信教の自由は、宗教を「信じる自由」と「信じない自由」の両方が尊重されて成立しますが、偽装勧誘や霊感商法・霊視商法に見られる悪質な手口は、明らかに「信じない自由」を奪い、個人の自己決定権を侵害するもので、単なる布教の域を超えているからです。
「営業の自由があるから、企業の営業停止処分は不当である」という主張を安易に支持してしまった場合、悪徳企業が放置され、かえって健全な営業が脅かされるように、「信教の自由があるから宗教団体の解散命令は不当である」という主張も、安易に支持してしまうことで、反社会的な宗教団体が放置され、かえって健全な宗教活動が脅かされる恐れがあります。
処分の目的が「被害の拡大を防ぐこと」なのか「信仰すること・宗教活動そのものを禁じること」なのか冷静に判断しなければなりません。解散命令請求を受けた団体が、「信教の自由を守る」という名目で、理解や協力を求めるとき、処分の目的を意図的に歪ませ、自分たちを擁護することに加担させようとしてないか、宗教者も、教育者も、メディア関係者も、慎重に見極める責任があります。
昨年11月に、カトリック中央協議会、在日大韓基督教会、日本イエス・キリスト教団、日本基督教団、日本聖公会、日本バプテスト連盟、日本福音ルーテル教会、日本キリスト教協議会が連名で出した『世界平和統一家庭連合(旧・統一協会)に対する解散命令請求に関する声明』でも述べられているように、旧統一教会は、法令に違反し、著しく公共の福祉を害する「破壊的カルト」と認識されています。
そのような団体から、対外的な自己正当化のアピールに使われかねないアンケートの回答や、話し合いを求められた場合、安易に協力しないよう注意していただければ幸いです。
2025年1月20日
日本基督教団カルト問題連絡会