常識にとらわれない伝道活動

聖書と聖霊の働きに重きを置く姿勢を崩すことなく、クロスローズは標準的な教会活動のあり方を再構築しようとしている。キャッチーなコピー、マーケティング、パワフルなメッセージ、注目度の高いプログラムなど、ビジネス的な手法で宣教活動を行っているのだ。クロスローズは、「型を破る」という企業家的な意志こそ、その成長の理由としている。過去の殻は、たとえ自教会のものであっても、思い切って脱ぐということだ。

ブライアン・トーム師(フェイスブックのプロフィール写真)

クロスローズの主任牧師ブライアン・トーム師は、ビジネスと霊的な働きを同列に捉えている。「私たちは古いものを意図的に破壊しようとしているのではありません。主イエスは、『新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ』(マタイ9:17)と言われました。古い革袋が不要だと言われたのではありません。イエスは、新しいことをするために来られました。ほかの教会がしたがらないことをこの教会にさせようと、聖霊が豊かに働いています」

「クロスローズでは、米国中西部の外にも拡大しようというビジョンや、プログラムの進め方など、すべてが聖霊の導きに従っています」とトーム師。最近行われた男性向けの祈りのイベントで、誘い水としてテントの外にビヤ樽を置いたことも、聖霊の導きによるものだ。

トーム師は神学の学位を持っており、牧師としてキャリアを積んできた。しかし師の同労者は、ビジネスリーダー、常識にとらわれないクリエイター、企業家たち。22年前にトームをシンシナティに招いたクロスローズの創立者の多くは、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)の重役だった。P&Gはシンシナティに本社がある巨大企業で、ファブリーズ、ジレット、パンパースなどのブランドで知られるマーケティングの雄だ。

トーム師は語る。「組織の維持継続ばかりを考えていては取らないようなリスクを、私たちは取ります。弟子として召されているとは、そういうことだと思います。主イエスが『なりなさい』と私たちに命じた存在に変えられるために、自分が傷ついてでも、リスクを取って新しい地を征服しようとする意志を持たなければならない、ということです」

1996年の創立以来、クロスローズは常に企業のようだった。神学を勉強したスタッフはごく一部しかいない。説教、奏楽、若者や子どもへの伝道などを超えた、さまざまな役割を担うスタッフを雇っているからだ。

メガチャーチでは、グラフィックデザインやブランディングを組織内で行うことは目新しい話ではない。しかし、クロスローズはさらに先を行っており、広告代理店のような機能を持つ一団がいる。デザイナー、コピーライター、プロジェクト・マネージャー、広報マネージャー、ソーシャルメディア戦略の専門家などから成るチームだ。

こうした取り組みや戦略こそ、この教会をほかの教会と峻別している。トーム師が有名な名物牧師ということではない(実際、最近シリコンバレーであった牧師の会議に参加したところ、師に気づく人は誰もいなかったという)。

1

2

3 4 5 6 7
CHRISTIANITY TODAY

CHRISTIANITY TODAY

「クリスチャニティー・トゥデイ」(Christianity Today)は、1956年に伝道者ビリー・グラハムと編集長カール・ヘンリーにより創刊された、クリスチャンのための定期刊行物。96年、ウェブサイトが開設されて記事掲載が始められた。雑誌は今、500万以上のクリスチャン指導者に毎月届けられ、オンラインの購読者は1000万に上る。

この記事もおすすめ