12月に入り、いよいよ街がクリスマスらしくなってきました。読者の中にも、そろそろクリスマスツリーを飾ったり、クリスマスケーキを予約したという人も多いのではないでしょうか。
クリスマスのお菓子といえば、最近はドイツの伝統菓子「シュトレン(シュトーレン)」も人気ですね。ドイツ語で“坑道”という意味を持つお菓子ですが、表面にたっぷりとまぶされた粉糖が、生まれたばかりのイエス・キリストの産着のように見えるとも言われています。シュトレンのベースとなるのは、パンと同じように強力粉を使った発酵生地。ドライフルーツやスパイス、砂糖とアーモンドパウダーを合わせたお菓子“マジパン”などを混ぜ込んで焼いたもので、見た目に反して、持つとずっしりと重みがあります。できたても美味しいのですが、時間がたつほど熟成が進み、生地にドライフルーツの甘みも浸透してさらに美味しくなるんですよ。
お隣のフランスにも、クリスマスに食べるお菓子としてアルザス生まれの「ベラベッカ(ヴェラヴェッカ)」があります。フランス語で“洋ナシのパン”をいう意味を持つように、こちらも強力粉ベースの生地の中に、洋ナシをはじめフルーツやナッツ類がたっぷり。一見、サラミのような細長い形で、ナッツがゴロゴロ入っている分、固さがあります。これは筆者の好みですが、コーヒーや紅茶はもちろん、赤ワインにもよく合うお菓子です。
一方、イタリアでは「パネトーネ(パネットーネ)」と呼ばれるパンがクリスマスの定番。イタリア生まれの天然酵母・パネトーネ種を使って焼き上げるパンで、ふんわりとした食感。日本でもおなじみのパンだと、ブリオッシュに近い感じでしょうか。こちらも、レーズンやオレンジピール、プルーンなど、ドライフルーツがふんだんに使われています。余談ですが、聖書の時代にはドライフルーツは既に食べられていたそうですよ。
さて、ここでご紹介したお菓子に共通しているのは、イエス・キリストの降誕を待つアドベントの期間に食べるお菓子であること。クリスマスケーキのようにイヴの夜に食べるのではなく、12月に入ってから少しずつ切り分けていただきます。長期間保存させるため、砂糖を大量に使っているので、カロリーもほかのお菓子より高め。(大きいものでは、シュトレン1本で1000キロカロリー近いものも!)おいしいからと言って一気に食べ過ぎないように気をつけてくださいね。