東京・六本木の国立新美術館で3月24日より開催が予定されていた「カラヴァッジョ《キリストの埋葬》展」の開催中止が発表された。
本展は、1919年の日本へのローマ教皇庁使節館設置から100年を記念して角川文化振興財団が立ち上げた「バチカンと日本のヴェールに包まれた歴史の交流、その解明の扉がいま開かれる―100年プロジェクト」の目玉として企画されたもの。当初は昨年10月の開催を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月に延期となっていた。残念ながら、現在も状況は変わらず、バチカンからの作品輸送が困難であることから中止が決まった。
本展では、バチカン美術館が所蔵する、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ(1571~1610)が描いた《キリストの埋葬》(1602)が30年ぶりに来日することで話題を集めていた。十字架上で命を落としたイエス・キリストの亡骸を弟子たちが抱きかかえ、墓に埋葬しようとする姿がダイナミックな構図で描かれた作品で、カラヴァッジョの最高傑作の一つともいわれている。
この他、ローマ・カトリック教会の改革運動など本作が描かれた歴史的背景の紹介や、同時代の日本各地の信徒集団がローマ教皇へ送った書状なども展示される予定だった。