フィールドの外で
ブラジル・サッカー連盟による新しい決定が、信仰を誇張して表現するブラジル・サッカー界の文化にもたらす最終的な影響は、現段階では未知数。けれども、同国の文化にカトリックが持っていた支配力はすでに消えてなくなっているという事実は明白だ。
社会科学者ロベルト・アフラニオ・ヌネスは次のように語る。「ブラジルで事実上カトリックが絶対的な存在だった以前は、プロテスタント福音派の存在はほとんど目に見えないものでした。福音派の教会に関わりを持つことは、以前は差別の対象でした。しかし1980年代以降、特に過去10年間に、福音派には一定の社会的地位が与えられたのです」
福音派のサッカー選手が増えるに伴い、長年、信徒として生きてきた選手も、自分の信仰についてオープンに語るようになってきた。たとえば、ゴールキーパーとして1994年アメリカW杯優勝に貢献し、ブラジル・サッカー史に永遠にその名を残すことになったクラウディオ・タファレルだ。約25年後の今、タファレルは、ナショナル・チームの現GKコーチという、その経歴にふさわしい地位を獲得している。タファレルはこの立場を用いて、「W杯での度重なる勝利」という彼の人生のハイライトよりもずっと高くに存在し続けてきた神との関係について(選手らに)伝えている。
タファレルは語る。「イエス・キリストを私の心に迎えて以来、神の愛と力に信頼して、人生の最も重要な瞬間に向き合ってきました。キリストに従う者の人生は、すべてがバラ色というわけではなく、私の人生もその例に漏(も)れません。
けれども、困難な時には、自分は孤独ではないということがどれだけ大切なことか、気づかされてきました。コーチとディレクターが裏切り合うとき、ボールを取りこぼしてしまったとき、観客がブーイングするとき、父が亡くなったとき、妻が生死の境をさまよっていたとき、(1994年W杯の対イタリアPK戦で)勝敗を決定するペナルティーキックのボールをキャッチしようとしていたとき。こうした困難なとき、神様はいつでも私と共にいてくださいました」
2018年7月1日、マルコス・シマス/カルロス・フェルナンデス
本記事は「クリスチャニティー・トゥデイ」(米国)より翻訳、転載しました。