8月11日は山の日

 

今日8月11日は山の日です。2016年に新設された祝日(1996年の「海の日」の新設以来)。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことが趣旨ですが、特にこの日に山についての由来はなく、お盆休みと連続させやすいことから決まりました。ちなみに翌日の12日には、御巣鷹山に日本航空123便が墜落する事故がありました(1985年)。来年は、東京オリンピックの閉会式の翌日である10日に変更されます。

聖書には多くの山が登場しますが、標高の高い順に見ていくと次のとおり。

アララト山(写真:Самыйдревний)

①アララト山は標高5137メートルで、トルコの東端にあり、ノアの箱舟がその山の上に止まったとされます(創世記8:4)。旧約に4回出てきます。

②レバノン山脈は最高峰が3088メートル。レバノンの中央を160キロ、南北に走る二連の山脈です。1年じゅう雪があることから、アラム語の「白(ラバン)」が語源。レバノン杉はソロモンの神殿などにも使われました。旧約に61回出てきます。

ヘルモン山(写真:Leifern)

③ヘルモン山は標高2814メートル。レバノンとシリアの国境、東側のレバノン山脈の南端にある最高峰です。一年じゅう雪で覆われ、その雪解け水はヨルダン川となって、その一帯は植物が豊かにしげっています。気温の低さで、夜間には大量の露が降りることから、それが神の恵みにたとえられました。「見よ、兄弟が共に座っている。なんという恵み、なんという喜び。……ヘルモンにおく露のように、シオンの山々に滴り落ちる」(詩編133:3)。旧約に14回出てきます。

シナイ山(写真:Ian Sewell)

④シナイ山は標高2285メートル。シナイ半島にあり、出エジプトしたモーセが神から十戒を授かりました(出エジプト19章、24章)。「神の山ホレブ」とも呼ばれ、モーセはそれ以前にこの山で燃える柴の間から神に声をかけられています(同3章、使徒7:30)。エリヤがバアルの預言者から逃げて「死にたい」と願った時に静かにささやく声を神がかけられたのもこの山です。「シナイ」は旧約に35回、新約に4回、「ホレブ」は旧約に17回出てきます。

⑤エバル山は標高938メートル。シェケムの谷を挟んで、南の⑥ゲリジム山(標高881メートル)と向かい合っています。「あなたが入って得ようとしている土地に、あなたの神、主が導き入れられるとき、ゲリジム山に祝福を、エバル山に呪いを置きなさい」(申命記11:29)。このモーセの命令に従い、ヨシュアはエバル山に祭壇を築き、イスラエルの民を祝福するために「(民の)半分はゲリジム山の前に、他の半分はエバル山の前に立った」(ヨシュア8:33)。また、この山はサマリア高原にあるため、新約時代、サマリアの女がイエスにこう言っています。「わたしどもの先祖はこの山で礼拝しましたが、あなたがたは、礼拝すべき場所はエルサレムにあると言っています」(ヨハネ4:20)。「この山」がゲリジム山で、サマリア人はこの山に神殿を建てていました。

オリーブ山(写真:xiquinhosilva)

⑦オリーブ山は標高818メートル。エルサレムからキドロンの谷を隔てて東にある丘陵。「安息日にも歩くことが許される距離の所にある」(使徒1:12)。イエスはエルサレム神殿で教えてから、夜はこの山で過ごし(ルカ21:37)、最後の晩餐のあともこの山に出かけ(マルコ14:26)、そのふもとにあるゲツセマネの園で祈り、またここで復活のイエスは昇天しました。旧約に3回、新約に9回、「『オリーブ畑』と呼ばれる山」は3回出てきます。

⑧ネボ山は標高817メートル。海抜約マイナス400メートルの死海との標高差は1200メートルもあるため、山頂からは聖地の全景が展望できます。モーセは死の直前、この山に登るように神に命じられ、「わたしがイスラエルの人々に与える土地をはるかに望み見るが、そこに入ることはできない」と言われます(申命記32:52)。旧約に9回出てきます。

⑨シオン山は標高765メートル。この丘の上にエルサレムの町があります。オリーブ山のほうが50メートルくらい高いので、エルサレムを見下ろすことができます。旧約に167回、新約に7回出てきます。

タボル山(写真:Eliot)

⑩タボル山は標高575メートル。ヘルモン山、カルメル山と並んでイスラエルでは有名な山です。ガリラヤ湖の南西にあり、イエスの姿が変貌した山だという伝説が生まれました(マタイ17:1には「高い山」とだけある)。旧約に7回出てきます。

カルメル山(写真:Chadner)

⑪カルメル山は標高525メートル。エリヤがバアルの預言者と戦いました(列王記上18章)。旧約に29回出てきます。

⑫ギルボア山は標高518メートル。サウル王がペリシテ軍と戦って戦死した山です(列王記上31章)。旧約に8回出てきます。

ほかに、アブラハムに対して、そこで息子イサクを焼き尽くす献げ物にするように神に命じられたモリヤ山もあり(創世記22:14)、この場所は「主の山に、備えあり」(同2節)と呼ばれます。「ソロモンはエルサレムのモリヤ山で、主の神殿の建築を始めた」(歴代誌下3:1)とあることから、エルサレムのあるシオン山のことだといわれています。

雑賀 信行

雑賀 信行

カトリック八王子教会(東京都八王子市)会員。日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会(岡山市)で受洗。1965年、兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。90年代、いのちのことば社で「いのちのことば」「百万人の福音」の編集責任者を務め、新教出版社を経て、雜賀編集工房として独立。

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