「正解」はロマンの墓場です【聖書からよもやま話598】

主の御名をあがめます。
皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。

本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は旧約聖書、ヨブ記の9章です。よろしくどうぞ。

ヨブ記 9章2節

しかし、人はどのようにして、
神の前に正しくあり得るのか。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

人は誰しも正しくありたいと思っていますし、なんなら「自分は正しい」と少なくとも心のどこかでは思っています。クイズを出されれば「正解したい」と思うでしょうし、判断を迫られれば「正しく判断したい」と思うでしょう。人は「自分が正しい」と思っていなければ、大きなストレスを感じてしまう性質を持っています。ですから自分から進んで「まちがいたい」なんて思う人はいないんです。

とはいえ、人には限界がありますからあらゆることについて正しいなんてことはありません。あらゆる判断に完璧に対処することはできませんし、あらゆるクイズに正解することだってできません。どれほど正しさを求めたとしても、少なからず誤りを含んでしまうのが人間です。「いや、私には誤りなんてない。私はすべて正しい」なんて言う人がいるなら、そのことがすでに誤りです。

近頃の政治やSNSでは「相手がまちがっているから、自分が正しい」というような論法をしばしば目にしますけれど、相手がまちがっているからと言って、それは自分が正しいことの論拠にはまったくなりません。「1+1=3」だと言っている人の誤りをいくら指摘しても「1+1=4」が正しいということにはなりません。どんなに相手の意見を批判しても、自分の主張の正しさにはほんの少しも役に立ちません。

人はまた、世界のあらゆることを同時に観察することはできません。自分のすぐ背後で起こっていることさえ認識できませんし、右を認識している時には左を認識できません。ですから人間が観察することができるのはたとえそれが誤りではなかったとしても常に「真実の一部」であって「真実」ではありません。

しかし神は、すべてのことを同時に認識できます。そんな存在を相手に人間が「私の方が正しい!」と主張したとして、それが滑稽以上の何かになるでしょうか。まして「神様、あなたはまちがっている!」と主張したところで何になるでしょうか。神を信じない人なら、真理でも同じことです。すべてを包括した真理の前で、そのほんの一部を観察できるに過ぎない人間が、「私はお前のすべてを知っている」と言ったところで何になるでしょう。

しかし現代の人類は、神に対しても真理に対しても、そんな態度をとっています。何から何まで科学で解明した、あるいは解明できると思い込み、神や真理に対して勝利宣言すらしているように見えます。科学の最前線にいる科学者さんたちの方がむしろ「我々にはまだまだわからないことだらけだ」と思っているかもしれません。しかし科学の果実を享受するだけの、僕も含めた多くの人には、まるで科学があらゆる真理を克服したように思えてしまったりします。しかしそれは落ち着いて考えれば明らかに幻想です。

世界には「わからないこと」が溢れています。むしろ「わかること」の方が少ない。そのことを認めて、神や真理の前に謙虚であることが、真に「科学的」なのかと思います。そしてその方がロマンに溢れる生き方ができます。「わからないこと」はすなわちロマンですから。むしろ「正解」はロマンの墓場です。

それではまた次回。
主にありて。

MAROでした。

【おねがい】
クリプレは皆様の献金により支えられています。皆様から月に300円の献金をいただければ、私たちはこの活動を守り、さらに大きく発展させてゆくことができます。日本の福音宣教のさらなる拡大のため、こちらのリンクからどうか皆様のご協力をお願いいたします。

横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

この記事もおすすめ