米Z世代による「宗教改革」 主流派教会に95箇条の論題

雪が降りしきる10月31日の米コロラド州都デンバー。切り裂くような風が、空気をより冷たく感じさせる。しかし、Z世代のエピスコパリアン(米国監督制教会員)であるジェイク・ボストンがこの祝日を記念することを止めることはできない。「クリスチャニティ・トゥデイ」が報じた。

カトリック教会を批判し、宗教改革を開始したマルティン・ルターの95箇条の論題をヴィッテンベルクの教会の門に貼り出したという勇気ある選択をプロテスタントが記憶する日。ジェイクはその昔話を再現するため、コロラド州の雪を踏みしめて主流派の教会から主流派の教会へと、合計60の教会を訪れ、そのドアに自分自身のテーゼを貼り付けた。

そのリストは、アメリカの七つのメインライン(主流派)教会に合わせたもので、彼らが正統派から神学的自由主義へと流れていることを批判し、復活、イエスの神性、聖書の権威、その他多くのことを再確認するようチャレンジしている。

ジェイクは一人ではなかった。「レコンキスタ大作戦」と呼ばれる草の根グループの一部である、歴史的な教派にこだわる1千人のZ世代の主流派グループが、まったく同じことをするために全米で活動していたのだ。宗教改革記念日の終わりまでに、彼らは95箇条の論題を米国のすべての主流派教会に郵送、電子メール、または物理的に掲示したとしている。

この活動を初めて耳にした時、私は興味をそそられると同時に心配にもなった。一方では、この1年、ケンタッキー州アズベリー大学でのリバイバルを筆頭に、Z世代主導の〝霊的刷新〟が驚くほど多く見られた。もしかしたら、これも同じように希望に満ちた展開だったのだろうか。

他方で、彼らのブランディングに使われる欲望まみれた軍事史(*レコンキスタ)は、多くの保守的な若者の想像力をかきたてる高度なオンライン・ムーブメントである「マノスフィア」(男性の問題や、自己啓発に焦点を当てたオンラインコミュニティーやウェブサイトの集合体)を彷彿とさせた。このグループのサイトには、軍事用語やイメージが使われている。

多くのマノスフィアのインフルエンサーがそうであるように、レコンキスタはまず、Redeemed Zoomerと名乗るYouTubeチャンネルとDiscordサーバーを通じて、オンライン上で人気を得た。

Redeemed Zoomerは、キリスト教の神学や教派について、漫画調の書体と、彼曰くひょうきんなグラフィックを使った低音質の解説ビデオを制作しており、そのいくつかは数百万ビューを記録している。歴史や思想の説明をしていない時は、世界構築ゲーム「マインクラフト」で大聖堂を中心とした都市を作りながら、主流派の組織刷新について語っている。

*レコンキスタ=欧州のキリスト教徒が一般的に「ムーア人」と呼んでいたムスリムの王国からイベリア半島を、「国土回復」したと正当化する用語。

(翻訳協力=中山信之)

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