――どんな活動をされていますか?
潤さん:2018年に「MESHRASH(メシュラーシュ)」を立ち上げ、キャップやTシャツなどオリジナルグッズの製作・販売しているほか、さまざまなクリスチャンクリエイターの作品の販売、イベントの企画・運営などを行っています。
2023年2月には大阪・箕面に実店舗としてカフェ&セレクトショップ「cafe C&R」をオープンしました。
――「MESHRASH」とはどんな意味でしょう?
潤さん:ヘブライ語で“三つ撚り”を表す言葉で、旧約聖書・伝道者の書(コヘレトの言葉)の4章12節に書かれている「「もしひとりなら打ち負かされても、ふたりなら立ち向かえる。三つ撚りの糸は簡単には切れない」に由来します。
僕と妻はクリスチャンホームで育ち、それぞれ教会を離れていた期間を経て、教会で再会しました。結婚をするときに、改めて僕と大切な人、神様の3人の関係を大切にして生きていきたい、生活をしている中で忘れそうになっても、常に思い出し、神様のもとに立ち返ることができようにという思いを込めて付けました。
――お2人とも、教会から離れていた時期があるんですね。
クリスチャンホームで育ったことで、どんなときに生きづらさを感じていましたか?
潤さん:自分にとって当たり前だった世界観が、当たり前ではなかったと知ったときですね。
そもそも、教会に対してあまりいい印象を持っていない人も多いし、教会の話をしても通じないし、興味も持ってもらえない。話をしたところで、「…で?」で終わってしまう。だから自然と、学校で遊ぶ友達、教会の友達と分けていました。
だんだん、週末をクリスチャンではない友達と遊ぶ時間に充てるようになり、さらに部活に入ったことで土、日に練習や試合が入るようになり…両親が強制的ではなかったこともあって、ますます教会には行かなくなりました。
真優さん:小学生の頃、教会で子ども向けの礼拝やキャンプなどのイベントがあるたびに、周りの友達に声をかけていたのですが、その頃からすでに断られる経験をしていて。6年生の頃には、クリスチャンが受け入れられにくい存在であることになんとなく気づいて、あんまり誘わなくなりました。
中学生になると、周りの友人が塾や部活を優先させているから、自分も自然とそうなっていって…私の両親も、教会に行くことに対して選択を任せてくれていたので、中、高時代は年に1度、イベントの時に行くか行かないかという感じでしたね。
聖書には興味はあるし、信仰を失ったわけではないけれど、教会に特に仲がいい友達がいなかったので、礼拝中に誰と過ごしていいかわからない、子どもの頃から私のことを知っている人にたくさん話しかけられるのがちょっとしんどい…という気持ちが、教会から足を遠ざけていました。
――そのまま教会から離れてしまう人も少なくないと思うのですが、戻るきっかけは何だったのでしょう?
潤さん:僕は、アメリカから来日した友人から「日本の教会に行ってみたい」と言われて、連れて行ったことがきっかけです。
真優さん:学生時代は週末はアルバイトだったり、友達と会ったり、他の予定を入れて「教会に行かない理由」を作っていたのですが、社会人になったことで土日が休みになり、友達と会う約束も平日の夜に入れることが増え、行かない理由がなくなってしまったんです。(笑)
礼拝だけ参加して、誰かに声をかけられても挨拶だけして帰ろう、と勇気を出して参加した礼拝で、彼(潤さん)と再会しました。
――ドラマティックな展開!
私は大人になってから聖書を読み始めたので、クリスチャンホームで育った方たちを羨ましく思うこともあるのですが、だからこそのご苦労もあるのですね。
真優さん:そうですね。子どもの頃から親に連れられて教会へ通っていた分、キリスト教の世界観や聖書はとても身近でしたが、親の信仰から、自分自身の信仰へシフトするのが難しくて…自分たちが何を信じているのか、どう感じているのか、向き合ったことがなかったんです。
だから、クリスチャンではなかった人が、きっかけが与えられて自ら信じた、ということが羨ましくもありました。
私たちはお付き合いをするようになったことで、改めて神様との結びつきを深め、まさに“三つ撚りの関係”を築いていった感覚があります。そんな中で、自分たちにしかできない形で、神様のことを伝えることができるんじゃないかと話し合うようになったのは、自然な流れでした。
――そこから「MESHRASH」が生まれたんですね。
はじめから実店舗を持ちたいと考えていたのでしょうか?
作りたかったのは、人と人がつながり、「神様と出会う場所」。MESHRASH/沢田潤さん、真優さん 【たまものクラブ】の続きを読む