わたしのことを、「手紙は重々しく力強いが、実際に会ってみると弱々しい人で、話もつまらない」という者たちがいるからです。
コリントの信徒への手紙二10章10節(参照箇所同書10:1〜11)
手紙に書いてあることはなかなかだが、実際に会ってみるとがっかりするという評判がパウロにあったことが分かります。パウロは、病気持ちであったことが知られていますから(12章7節)、健康体ではなかったのでしょう。書いたものを読むのとちがって、「実際に会ってみると弱々しい人で、話もつまらない」という評判があったところをみると一見して弱々しい感じがしたと思われます(1節)。しかし手紙で想像する彼も生身の彼も同じであると訴えているところを見るとパウロほどの人でも、この評判で困惑していたのでしょう。
彼がそのような評判があったにせよ、使徒としての働きに力を注ぐことができたのは、自分に与えられた権威によるのだと言います。彼にとって、この権威は「打ち倒す権威ではなく、造り上げるために主が授けてくださった権威」(8節)でした。
「造り上げる」とは、下から見上げるように教会を形成することを意味し、下からの権威ともいうべきものを神から授けられたと言うのです。言い換えれば、彼は弱さを土台にして、そこから上を見上げるように教会を形成するのです。弱さから始める、強さとでもいうべきでしょうか。