あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。
出エジプト記20章3節(参考箇所同書20章1〜21節)
「わたしをおいてほかに神があってはならない」とは、被造物を拝むなということです。造られたものは、被造性を持ちます。有限であり、変化をします。どこか不完全であり、あいまいさを残します。その終わりに究極の答えがありません。人が生きていく上で、造られたものを最後の砦のようであっても、被造性の範囲から出ることはできません。限りあるものは、何時か消滅するでしょうし、永久不滅のものは造られたこの世界にはありません。
多くの人は、最後には自分しか頼るところがないといいます。しかし人もまた造られた存在なのですから、自分自身も被造性を持ちます。そうなれば自分に究極の信頼を寄せることはできません。事実、多くの心理社会的な病理は自分を信頼できないからこそ発生するものです。
ルターは「神以外のものに心を寄せるなら、自分自身も含めてすべて偶像礼拝となる」と言います。この言葉は単に偶像を拝むなということ以上に、究極のお方とはだれかを知りなさいということでもあります。成熟した信仰の持ち主は、被造性をもつこの世界の中で生きつつ、究極なるお方を知っている人です。