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今週末、第五土曜コンサートが行われる。コロナ禍中は休会していたので、ほぼ2年ぶりの開催。有観客で行った2020年2月のコンサートは、「不要不急の外出自粛」の方針が取られ、演劇、音楽、スポーツ等のコンサートや催しが中止となる中での開催であった。奏者のお一人がくださったメールに「私の仕事は、政府の言うところの不要不急で成立しています」と書かれていた文章に胸を突かれるようであったことを記憶している。あれから2年、私たちは様々なことを感じ、考えてきた。変わらなければならないことにも、大切なことが何かということにも気付かされてきた。21年前に始めて今回55回目を迎える「第五土曜コンサート」も、2年間休止というよりも立ち止まらされたことによって、地域の方々に大切な物を贈り続けてきていたのではないかと思えるようになった。演奏してくださる方々の音色が、お出で下さる方々の「心の糧」に必ずなると確信して、「さぁ、コンサートに来てみませんか!」
先日、久しぶりに自転車に乗って買い物に出かけた。ふと足許のスニーカーに目を留めた。靴先が剥げはじめ、手入れをしていないので色もくすんでしまっている。「そういえば、コロナ禍中、足許に目を止めることなどなかったなぁ」と思うと同時に、「そうだ、靴を買いに行こう」という気持ちが湧いてきた。足許に目が行くということ自体は何でもないことだけれども、自粛生活続きで靴の状態を気にすることすら忘れていた気がする。どこにも行かない、行けないのだから買い物も必需品を求める程度。そういう日常の繰り返しが、「靴を買いに行こう」という気持ちまで奪ってしまっていたのかもしれない。些細なことだけど、どこにも行く予定のないゴールデンウィークに、「そうだ、靴を買いに行こう!」
「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにおいて、神があなたがたに望んでおられることです。」(1テサロニケ5:16〜18)恩師が私の結婚を祝してくださった壁掛けの聖句である。多くの方の愛唱聖句でもあるだろうし、よく知られた聖句でもある。いつも心してきたつもりであったが、コロナ禍中にこの聖句を実践できただろうか、不当な侵攻を見聞きしてこの聖句の存在を忘れてしまってはいなかっただろうかと自問自答する。ウクライナの人々のために今は僅かな支援しかできないけれども、未来の復興のために少しでも尽力できるように、今は「そうだ、靴を買いに行こう!」と元気を取り戻さなければなるまい。