今日7月21日はアーネスト・ヘミングウェイの誕生日。『老人と海』『武器よさらば』『日はまた昇る』『誰がために鐘は鳴る』で知られる米国の小説家です。
ヘミングウェイは1927年、妻となるポーリーンと同じカトリックに改宗します。それにはいろいろ障害があったために、イタリア旅行中、道中で聖堂が見つかると、長い時間、涙を流しながら祈り続けたといいます。
もちろん、その作品にキリスト教色が出ているわけではなく、ポーリーンを含め、4度も結婚をし、最後はうつ病で自殺したので、その改宗も便宜的なものだと受け取られがちです。
それに対して異議を唱えたのが、九州大学大学院准教授の高野泰志(たかの・やすし)氏。「ヘミングウェイ作品にはあまりにも宗教的モチーフが多い」として、『アーネスト・ヘミングウェイ、神との対話』(松籟社)などを著しています。
実際に戦場で重傷を負った経験のあるヘミングウェイは、死への恐怖の中で何らかのよりどころを必要としたのである。とうてい神を信じられない状況の中で、神にすがらざるを得ない現実、ヘミングウェイが描こうとしたのはこの矛盾……(「届かない祈り──20年代のヘミングウェイ作品に見られる宗教モチーフ」)