今日6月28日はルーベンスの誕生日です。児童文学「フランダースの犬」で少年ネロが見たがっていた「キリスト昇架」などを描いた画家として有名です。
プロテスタント迫害のためにアントワープ(英語読み、現地のオランダ語では「アントウェルペン」)からドイツに亡命していたプロテスタントのカルヴァン主義者だった父ヤンと母マリアの間に誕生しました。ピーテル・パウル・ルーベンスという名前は、使徒ペトロとパウロから取られています(翌29日が聖ペトロと聖パウロの祭日)。
10歳で父親が亡くなると、一家でアントワープに戻り、ルーベンスは以後、カトリックとして育ちます。13歳で家を出て貴族の召し使いとなりましたが、才能を見いだされて画家の道を歩みました。
その動きの多いドラマティックな構図、華麗な色彩に魅了されたのは決してネロだけではありません。アントワープの聖母マリア大聖堂には「キリスト昇架」のほかに、「キリスト降架」「聖母被昇天」も飾られています。アニメ「フランダースの犬」では、「聖母被昇天」を見ているシーンにはシューベルトの「アヴェ・マリア」、ネロとパトラッシュが天に引き上げられるシーンでは「主よ、みもとに近づかん」(54年版『讃美歌』320番)が流れます。
天への凱旋という召天シーンにこうした音楽をつけたのは、この番組スポンサーだったカルピス社長の土倉冨士雄がクリスチャンだったためです。土倉の祖父は新島襄に共鳴して同志社に多額の寄付をしてきた奈良・吉野の林業家であり、父親は同志社で学んでキリスト者となり、カルピス創業をバックアップしました。
「ネロとパトラッシュは、おじいさんやお母さんのいる遠いお国へ行きました。 もうこれからは、寒いことも、悲しいことも、お腹のすくこともなく、みんな一緒に、 いつまでも楽しく暮らすことでしょう」という、黙示録21章4節(「もはや死もなく、悲しみも嘆きも痛みもない」)が背景にあるナレーション原稿も土倉が書いたものでした(PATRASCHE.NET、電通報)。その墓碑には「誰でもキリストにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去り、まさに新しいものが生じたのです」(2コリント5:17)という聖句に基づいた言葉が刻まれています。