イエス様のパンはグルテンフリーでヘルシーだった【聖書からよもやま話42】

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。今日も日刊キリスト新聞クリスチャンプレスをご覧いただきありがとうございます。

毎回、新旧約聖書全1189章からランダムに選ばれた章から心に浮かんだ事柄を、皆様の役に立つ立たないは気にせずに話してみようという【聖書からよもやま話】、今日は 新約聖書、ヨハネの福音書の6章です。それではよろしくどうぞ。


◆ヨハネの福音書 6章13節

そこで彼らが集めると、大麦のパン五つを食べて余ったパン切れで、十二のかごがいっぱいになった。

今日の箇所は有名な「5000人の給食」のシーンです。5つのパンと2匹の魚をイエス様が増やして5000人の人々に食べさせたというエピソードで、この5000人というのは成人男性だけを数えた数ですから、実際には女性や子どもを含めて10000人くらいが食べて満足したのではないかと言われています。

さて、この時にみんなが食べたパンはどんな味だったのでしょう。気になります。というわけで、何か味に関する手がかりがないか注意して読んでみたところ、ヒントがありました。「大麦のパン」と書いてありました。

皆さん、大麦と小麦の区別ってつきますか?「大きいのが大麦、小さいのが小麦でしょ」と思っている方は多いでしょうし、僕も実は以前はそう思っていたのですが、実は違います。穂の大きさはむしろ大麦の方が小さいんです。それがどうして大麦と呼ばれるようになったのかには諸説ありますが、「育ち始めは大麦の方が穂が大きいから」とか、「穂についている禾(ノギ)と呼ばれるヒゲみたいな毛が大麦の方が長いから」とか言われています。

気になるお味なのですが、大麦は小麦と違ってグルテンが含まれていないので、パンにしてもふっくらと膨らむことがなく、ボソボソの食感になってしまいます。近頃では大麦を材料にしてもおいしく焼ける技術が発展していますが、イエス様の時代にはおそらくその技術はないので、きっとぺったんこでボソボソのパンだったのだと思います。いわゆる「口の中の水分を持っていかれる」タイプのパンです。

栄養的には大麦にはグルテンがない代わりにグルテリンとホルデインというタンパク質が含まれていて、これはグルテンに似た性質を持っています。ですからグルテンアレルギーの方でも食べられる可能性があります。小麦のパンは食べられなくても大麦パンなら食べられるという人もいます。どっちもダメな人もいますから「大麦だから大丈夫!」とは言い切れませんが。さらに大麦は小麦に比べて食物繊維とビタミンが豊富です。

つまりイエス様が提供したパンは「グルテンフリーでヘルシー」だったわけです。みんなをお腹いっぱいにするだけでなく、健康にまで気を回すイエス様、さすがです。

ちなみに大麦はごはんに混ぜて炊くとおいしい上にヘルシーです。大麦は炊くと白米に比べて1.5倍くらいに膨らみますから、同じカロリーなのに食べられる量も増えます。さらに食物繊維は白米の17倍も含まれているので腹持ちも非常に良いです。玄米よりもすごいです。おすすめです。

それではまた。
主にありて。MAROでした。


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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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