日本キリスト教協議会(NCC=National Christian Council Japan)の第41回総会が15日、新型コロナ・ウイルスの感染拡大のため、初めてズームによるウェブ会議によって開催され、新議長に日本バプテスト連盟の吉髙叶(よしたか・かのう)氏が就任した。2018年に議長に就任した渡部信(わたべ・まこと)氏は1期で退任した。
昨年は2日にわたって日本聖公会神田キリスト教会(東京都千代田区)で開かれたが、今年は1日だけで、午前10時に開始され、休憩や昼食をはさみ午後2時には終了した。ズームでの開催に際して、事前に報告書や議案などを参加者に配布し、当日の口頭での報告は省略し、質問は極力事前に受けるようにしたためだ。
新総会期の新しい役員および総幹事は下記のとおり。
議 長:吉髙叶(日本バプテスト連盟)新任
副議長:矢萩新一(日本聖公会)
副議長:西原美香子(日本YWCA)新任
書 記:牧 由希子(CWS Japan)
書 記:藤原佐和子(日本福音ルーテル教会)新任
総幹事:金性済(在日大韓基督教会)
NCCの実務を担う総幹事の金性済(キム・ソンジェ)氏(在日大韓基督教会名古屋教会牧師)と副議長の矢萩新一(やはぎ・しんいち)氏(日本聖公会管区事務所総主事)は引き続き、またもう一人の副議長は小海光(こかい・ひかり)氏(ウェスレー財団代表理事)から西原美香子(にしはら・みかこ)氏(日本YWCA業務執行理事)に、書記は金迅野(キム・シンヤ)氏(在日大韓基督教会横須賀教会牧師)から藤原佐和子(ふじわら・さわこ)氏(日本福音ルーテル教会)に交代した。もう一人の書記の牧由希子(まきゆきこ)氏は梶浜淳(かじはま・じゅん)氏(日本聖書協会総主事秘書)が任期中に代わっていた。
新議長の吉髙氏は挨拶(あいさつ)の中で次のように抱負を語った。
「新役員のメンバーが教派、ジェンダー、教職・信徒のバランスがとれた顔ぶれになっている。これから事務局や各員会とコンセンサスをとりながら活動を行っていきたい。また、コロナによる困難を世界も教会も経験しているが、その危機の正体は何なのかを探っていきたい」
新総会期の予算大綱および活動方針は、キリスト教界全体の教勢的・財政的な厳しさやコロナ禍による課題が反映されたものとなり、いくつかの質疑を経て承認された。
吉高氏は1961年、福岡県博多に生まれる。84年、関西学院大学神学部卒。以来、日本バプテスト連盟・伊丹キリスト教会(兵庫)、泉バプテスト教会(東京)、栗ヶ沢バプテスト教会(千葉)の牧師を経て、2013~19年、日本バプテスト連盟常務理事。19年、市川八幡キリスト教会(千葉)の牧師に就任(それ以前は協力牧師)。坂出高校音楽科でピアノを、野町紀元氏にパイプオルガンを師事。日本バプテスト連盟宣教研究所の所員も務めていた。趣味はオートバイ、写真、ギター、ピアノ。
日本キリスト教協議会は、プロテスタント諸教派の宣教協力のための活動を行う組織。前身は1923年に設立された日本基督教連盟で、戦時中に解散するが、48年、日本基督教協議会として再設立された。日本最大の教派である日本基督教団をはじめ、日本聖公会、日本バプテスト連盟、日本福音ルーテル教会、日本バプテスト同盟、在日大韓基督教会が加盟しており、平和問題などではカトリックも協力している。初代議長は小崎道雄(日本基督教団霊南坂教会牧師、48~59年)で、近年では徳善義和(日本ルーテル神学大学教授、97~2000年)、鈴木怜子(日本基督教団牧師、00~06年)、輿石勇(日本聖公会司祭、06~12年)、小橋孝一(日本基督教団霊南坂教会牧師、12~18年)各氏が議長を務めた。
ちなみに、主流派と呼ばれる教派・団体が加盟しているNCCのほかに、福音派と呼ばれる戦後成長した教派から成る日本福音同盟(JEA)、聖霊の働きを強調するペンテコステ・カリスマ派による日本ペンテコステ・ネットワーク(JPN)などがある。