教皇フランシスコの日本へのメッセージ 訪日に向けて高まるキリスト教への関心

 

今月23日の教皇フランシスコの訪日まであと2週間と迫り、日本の一般メディアでも関連のニュースが毎日のように取り上げられている。

西坂公園にある二十六聖人等身大のブロンズ像嵌込(はめこみ)記念碑(写真:Masoud Akbari)

訪問先の長崎では、ドローンを飛行禁止するなど、受け入れ準備を進めている(長崎放送)。11~24日まで、長崎空港とその周囲1キロ以内、爆心地公園、西坂公園、長崎大司教館、ビッグNスタジアムとその周囲300メートル以内を飛行禁止とし、違反した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。

また、教皇の広島訪問のため、修学旅行で広島平和記念資料館を見学する予定が中止になりかけた高校生に、教皇主催の「集い」への招待状がカトリック中央協議会から届いたと「朝日新聞」は報じた。

広島平和記念資料館(写真:At by At)

バチカン・ニュースは4日、最新インタビューで教皇が訪日について次のように語ったと伝えている。

──教皇、あなたは若い頃、宣教師として日本に行きたいとおっしゃっていました。教皇が宣教師になったことはないと言えるでしょうか。

どうでしょう。ただ、私がイエズス会に入ったのは、常にフロンティアに行くという宣教師の使命に打たれたからです。当時、私は日本に行くことができませんでした。しかし、イエスとその福音を宣言することは、外交や訪問にも含まれているといつも感じています。

教皇は日本のジャーナリストにもこう発言したという(10月2日付)。

「キリシタンの殉教者の話や広島・長崎の被爆者の体験を読んだとき、私は深い感銘を受け、日本に対して大きな敬意を覚えました。殉教者と彼らの忍耐、不屈の信仰、自分が信じるものを守ること、彼らの信念とキリスト教の自由を守ることについて考えます。そして、より大きな殉教、原子爆弾による人々の苦しみを。その地獄のような苦難の中から再び立ち上がった日本人は素晴らしいと思います。あなたがた日本人は再び立ち上がることのできる人々、常に先を見据えている人々です。だから今、私は真実を繰り返し語りたい。原子力エネルギーを使って戦争をすることは不道徳です」

一方、大分市で10月26日に開かれた「マレガ・プロジェクト国際シンポジウム」に参加したバチカン図書館のチェーザレ・パシーニ館長は帰国後、日本で高まる教皇フランシスコ訪日とキリスト教文化への関心について語った(11月4日付)。同シンポジウムでは、バチカン図書館で見つかったキリシタン関係史料「マレガ文書」の修復状況や研究成果が発表された。

「日本では、訪問者に対する心づかいや和やかさを表すしるしである素晴らしい『もてなし』の伝統に感銘を受けました。それだけでなく、日本の人々のカトリック教会に対する対話と尊重への気持ちも感じました。日本の人々は、キリシタン文化や遺跡に対して大きな関心を持っているようです。教皇の訪日への関心も高まっています。長崎でのミサなどに参加を希望する人々の熱意はもとより、キリスト教に対する人々の広い興味にも触れることができる機会でした」

雑賀 信行

雑賀 信行

カトリック八王子教会(東京都八王子市)会員。日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会(岡山市)で受洗。1965年、兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。90年代、いのちのことば社で「いのちのことば」「百万人の福音」の編集責任者を務め、新教出版社を経て、雜賀編集工房として独立。

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