日本聖書協会は、昨年12月に初版を発行した新しい礼拝用聖書「聖書協会共同訳」の変更・訂正箇所を8月30日付けで決定し、ホームページ上でその一覧を公表した。それらは逐次、重版や新版に反映していく予定。今後も半年ごとに見直し、変更・訂正箇所を更新していくという。
初版で誤字や脱字が見つかったり、重版において細かい表記を変更したりすることは出版物ではよくあることで、奥付にある刷数が多いものほどより正確に近づいていくことは、本に詳しい人にはよく知られていることだ。
特に2段組かつ引照・注付きで総ページ数が2000ページ以上もある聖書では、どんなに複数の人によってチェックされていても誤りは避けられない。これまでの「新共同訳」や「口語訳」、「文語訳」でも同じように変更・訂正が版ごとに行われてきた。
今回発表された訂正箇所は、聖書本文だと、旧新約66巻中、各書数箇所ずつで、まったくない書もある。
たとえば、新約聖書「マタイによる福音書」は以下の3箇所。
その時から、イエスは、「悔い改めよ【、→。】天の国は近づいた」と言って、宣べ伝え始められた。(4:17)
あなたの断食【が→を】人に見られることなく、隠れた所におられるあなたの父に見ていただくためである。そうすれば、隠れたことを見ておられる父が、あなたに報いてくださる。(6:18)
すると、娘は母親に唆されて、「洗礼者ヨハネの首を盆に載せて、この場でいただきとう【こ→ご】ざいます」と言った。(14:8)
ほかに新約では「ヨハネによる福音書」7箇所、「使徒言行録」1箇所、「エフェソの信徒への手紙」1箇所、「コロサイの信徒への手紙」1箇所、「ペトロの手紙二」1箇所、「ヨハネの手紙一」1箇所。
大方は句読点の追加や、「ユダがパン切れを受けるや否【いな】や」(ヨハネ13:27)というような、漢字とひらがなの変更、「中には入(【は】い)らなかった」(同20:5)などのルビの訂正だ。エステル記の有名な登場人物「モルデカイ」が「モデルデカイ」になっていたことは、カタカナ表記によくある誤字の見落としの典型といえる。
しかし、次の出エジプト記14章12節の1箇所だけは大きな変更だ。
「荒れ野で死ぬよりはエジプト人に仕えるほうがましです。」
↓
「私たちはエジプトであなたにこう言ったではありませんか。『放っておいてください。私たちはエジプト人に仕えます。荒れ野で死ぬよりはエジプト人に仕えるほうがましです。』」
ほかには、巻末のカラー地図「9 イエス時代のパレスティナ(後6~30年)」の真ん中あたりにある「シカル」という地名の下に「100」という白抜き文字が間違って入っていたり、「11 パウロの第一次および第二次宣教旅行」で、地図に白抜きで入っているはずの「ローマ属州の境界」が入っていなかったりする。詳しくは訂正一覧を参照してほしい。