美術史学者の本江邦夫(もとえ・くにお)さん(多摩美術大名誉教授、同美術館館長)が3日午後7時頃、心筋梗塞(こうそく)のために帰天した。70歳。通夜は9日午後7時、葬儀ミサ・告別式は10日午前10時からカトリック多摩教会(東京都多摩市聖ケ丘1の30の2)で。喪主は妻、敏子(としこ)さん。
1948年、愛媛県松山市生まれ。東京や札幌、小樽で小中学校時代を過ごす。73年、東京大学文学部美術史学科卒業。76年、同大大学院人文科学研究科西洋美術史学修了。同年から東京国立近代美術館に研究員として勤務し、86年に主任研究員、92年に企画・資料課長を経て、94~98年まで美術課長。81年にマチス、83年にピカソ、87年にゴーギャン、89年にルドン、94年に木村忠太などの回顧展を手がける一方、84年には「メタファーとシンボル」、90年に手塚治虫、92年「形象のはざまに」、93年に黒田アキ、95年に辰野登恵子などの現代的な企画に関与した。
98年、多摩美術大学美術学部共通教育教授になり、その後、同大大学院美術研究科長、理事を歴任。19年から名誉教授となり、多摩美術大学美術館長を務めていた。01~09年、府中市美術館館長を兼任。近・現代美術を中心に論じ、「VOCA展」など、数多くの美術賞の選考委員を務めた。著書に『絵画の行方』(スカイドア)、04年に芸術選奨文部科学大臣新人賞を受けた『オディロン・ルドン──光を孕んだ種子』(みすず書房)など。