救世軍のブラスバンド、大阪のザ・シンフォニーホールなどで来日コンサート

 

救世軍のニューヨーク・スタッフ・バンド(NYSB)が3月20日から25日まで大阪のザ・シンフォニーホールなどでコンサートを開いた。今回は1989年以来29年ぶり2度目の来日。

ザ・シンフォニーホールのコンサートで(公式フェイスブックより)

ニューヨーク・スタッフ・バンドは1887年に創設し、今年で131年目。世界の8つの救世軍本営(本部)所属のスタッフ・バンド(イギリス、カナダ、米国ニューヨークとシカゴ、オーストラリア、ドイツ、オランダ、日本)の中で最も長い歴史を持つ。メンバーは救世軍の信徒と伝道者で構成され、数多くの優れた演奏家を輩出している。これまで、カーネギーホールなど世界の主要なホールのほか、バッキンガム宮殿、国連本部などでも演奏を行ってきた。

チャリティーコンサートでのアンコール(東京オペラシティのコンサートホール、写真:救世軍提供)

初日の20日に大阪のザ・シンフォニーホールで公演が行われた(聴衆1400人)。その公演後の様子を救世軍ウェウサイトは次のように伝えている。

終演後、ロビーではバンドメンバーが聖書を配布し、サインや写真撮影に応じ、楽しい雰囲気でした。来場していた子どもたちに感想を聞くと、「すごかった」「指揮がかっこよかった」「迫力があってすごかった」「サインをたくさんもらって嬉しかった」など、笑顔で答えが返ってきました。「音色の美しさに、銀の粉が天からきらきらと降ってくるように感じた」「合唱が素晴らしかった」などの声も聞かれました。CD販売も盛況。また、社会鍋も立てられ、救世軍の働きに理解とご協力をいただく良い機会ともなりました。

翌21日午前には、救世軍大阪セントラルホールで行われた京阪神地区連合集会「賛美と喜びのつどい」で演奏(聴衆150人)。午後には天神橋筋商店街で演奏しつつ行進し、夕方には新幹線で東京に移動した。

天神橋筋商店街での行軍(写真:救世軍提供)

22日は、東京オペラシティのコンサートホールでチャリティーコンサートを行った(聴衆1520人)。

午後6時30分に開演し、特別ゲストの松居直美氏によるパイプオルガン演奏「ニ短調 トッカータとフーガ」やジャパン・スタッフ・バンドの演奏の後、東京少年少女合唱隊による合唱「アメージング・グレース」など。休憩を挟んで、パイプオルガンとの共演による「ドラムとシンバルを持って主をほめたたえよ」などが演奏された。

東京公演での足立区立花
 畑西小学校金管バンド部との共演(写真:救世軍提供)

23日、ギャラクシティ西新井文化ホール(聴衆740人)、24日、千代田区立神田一橋中学校体育館(聴衆350人)など。そして最終日の25日は、日本教育会館一ツ橋ホールで行われた「東京地区連合聖別会」で演奏した。

クリスマスの時期に制服姿の救世軍の人たちが行う街頭募金活動「社会鍋」(三脚につるした鉄鍋に募金を入れる)は年末のせわしない街角の風物詩だが、その時、賛美歌の演奏をトランペットなどでする。最初、イギリスで救世軍が路傍伝道を始めた頃、暴徒から妨害されることが多かったために、一計を案じたメンバーが金管楽器で賛美歌を演奏した。町行く人々はその美しい音色に聞き入り、路傍伝道は次第に受け入れられるようになった。それが、救世軍ブラスバンドの始まりだ。今日、世界中で2万7626人(2017年1月現在)ものメンバーが、礼拝や伝道の目的で演奏活動をしている。救世軍ブラスバンドは「歩く銀色のパイプオルガン」とも呼ばれる。

雑賀 信行

雑賀 信行

カトリック八王子教会(東京都八王子市)会員。日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会(岡山市)で受洗。1965年、兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。90年代、いのちのことば社で「いのちのことば」「百万人の福音」の編集責任者を務め、新教出版社を経て、雜賀編集工房として独立。

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