昔の船は葦の船。どうして沈まなかったのか。【聖書からよもやま話472】

昔の船は葦の船。どうして沈まなかったのか。【聖書からよもやま話472】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、イザヤ書の18章です。よろしくどうぞ。

 

イザヤ書 18章2節

パピルスの船を水に浮かべて、海路で使者を送る。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

イザヤ書18章は、強大なアッシリアに対して南ユダとエチオピアが同盟を結ぶ交渉過程が記されていますが、ここに「パピルスの船で使者を送る」と書いてあります。パピルスと言えばなんとなく「原始的な紙」のようなイメージがありますが、これを使って船を作ることができたんですね。ちょっと驚きました。日本は製紙技術が昔からかなり発達した文化を持っていますが、それでも「紙の船」なんて聞いたことがありません。せいぜい折り紙で舟を折って、底にロウを塗ってお風呂に浮かばせて遊んだことがある程度です。

それで、それがどんな船だったのか調べてみましたら、なんと現代でも葦船と呼ばれて一部の地域では使われているのだそうです。構造は、葦を編んで船の形状にして、船底にはアスファルトや樹脂を塗って防水するということですから、折り紙の舟にロウを塗るのと考え方は同じです。パピルス自体に防水性能があるわけではないんですね。

この種の船は世界でも最も古い船の一つと言われていて、紀元前5000年ごろにはあったんだそうです。しかしこれを使って「海路で使者を送る」とは、想像以上の強度があったんですね。せいぜいちょっと川を渡るとか、漁に使うくらいの強度かと想像していましたのに。

そう言えばモーセが生まれた時、葦のかごに入れられて川に流されましたけれど、このかごにもたしかアスファルトか何かでコーティングがなされていたのでした。葦で何かを作ってコーティングするというのは当時の防水技術としては基本的なものだったのでしょう。

日本神話でもイザナギとイザナミの間に生まれたヒルコという子が捨てられる時、葦船に乗せて流されたと記されています。日本でも歴史(神話)の初めからこの葦船は登場しているんです。

とはいえ、アスファルトなんかでコーティングしたら重くて水に沈んでしまわないのかしら。あぁ、でも現代では鉄で船を作ったりしていますものね。よく考えてみればそっちの方がよっぽど不思議かもしれません。どうして鉄で船を作って沈まないんだろう・・・。パチンコ玉にせよ何にせよ「鉄をお風呂に浮かべろ」なんて言われたら「そんな無茶な・・・」と頭を抱えてしまいそうです。技術力ってすごいものですね。

 

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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