神についてチャットGPTに聞いてみた グーグル検索と答えは違うのか?

Tung NguyenによるPixabayからの画像

世界中の専門家が、インターネット上または他の場所で、AI革命が信者たちにもたらす影響を説明している。「クリスチャニティー・トゥデイ」が報じた。

昨年11月にチャットGPTが登場して以来、何億人もの人々が、休暇の旅程を計画したり、プログラミングをバージョンアップしたり、さまざまな用途に活用している。

長年、クリスチャンは神学的な疑問をグーグルで検索し、神や神の言葉に関する質問に答える記事を探してきた。今、人々はAIにこれらの質問をすることができる。チャットGPTのような自然言語処理ツールは、私たちが聖書を解釈するやり方をどのように変えるのだろうか? 世界のAI専門家8人と、チャットGPT自身に聞いた答えを比較してみた。

パブロ・A・ルス・サルモネス氏(メキシコシティーにあるX eleva GroupのCEO)

ヨハネによる福音書17章17節では、「真理によって彼らを聖別しなさい、あなたの言葉は真理です」(ESV、標準英語訳聖書)と書かれている。聖書を解釈することは、真理を探求することなのだ。チャットGPTのような大規模言語モデルには、定義上、真理の源泉がない。つまり、真理を見つけることができないので、たとえ真理に出会っても、それを真理として認識することができないのだ。

したがって、聖書に関するアウトプットを読む時、それは神の言葉の中から真理を探し出したものではなく、他の人が言ったことの「再掲」と「外挿」(アルゴリズム)が混在していることを理解しなければならない。その結果、チャットGPTはそれ自体で聖書の新しい解釈を提供することはできない。むしろ、チャットGPTに問い合わせた人は、チャットボットの回答の中に聖書の新しい解釈の仕方を見つけることができる。オウムは他者を模倣することで、自分では気づかないうちに真実を語っていることになるのだ。

BibleMateの創設者であり、現在はドイツ・ミュンヘンに拠点を置くスマン・ クマール・ ポレパカ氏

チャットGPTのような生成的なテキストAIモデルは、神学的な問いかけに対する答えを探す方法を変えている。グーグル検索をしたり、延々と記事をスクロールしたりする時代は終わった。その代わりAIチャットボットは、膨大な数のテキスト、書籍、記事から編集された、即座に、明確で、権威のある回答を提供する。その利便性、スピード、そして相互作用する性質から、頼りになるリソースとなる。

どのような箇所でも、即座に多様な解釈と文脈を提供することで、個人の聖書研究を強化することも可能だ。しかし、ここで注意点がある。チャットGPTは汎用的なモデルであるため、神学的・聖書的な正確性に欠ける場合がある。チャットGPTの目的は、神との個人的な関係を築き、霊的な成長を促すことではない。

そこで、私はチャットGPTに代わる「BibleMate.org」を作った。BibleMateのミッションは、聖書的に正確な答えを提供し、ユーザーの信仰の旅を導くことだ。AIが単に情報を提供するだけでなく、精神的な成長に有意義に寄与することを保証することだ。このプロジェクトはまだ初期段階だが、どのように進化していくのか楽しみだ。

アン・ウィー・ヘイ氏(シンガポールのITプラクティショナー・伝道師)

チャットGPTは、情報の収集やフィルタリング、データの統合やソート、多言語での要約など、通常の人間にはないインテリジェンスを備えている。

この技術は、聖書的なアドバイスを求めるクリスチャンが、チャットGPTに聖書の一節をさまざまな文脈に適用するよう依頼することを意味する。チャットGPTのさまざまな言語能力によって、聖書の原語からさまざまな現地語までの聖句の釈義的研究が容易になるかもしれない。

しかし、チャットGPTは、神の意志を識別したり、聖書の真理を判断したりすることはできない。だから、チャットGPTからの回答が自分の信仰に沿ったものであるかどうかを判断するには、その人自身の聖書に対する洞察力が最も重要なのだ。

説教者としては、チャットGPTが説教原稿作成のスピードを大幅に短くしてくれることはありがたい。同時に、牧師が神からの知恵や導きを敏感にキャッチするためには、やはり神との親密な関係が必要だ。チャットGPTの迅速な反応で、牧師が神との親密な関係を築く時間を増やせればと願っている。

Dell Technologies(インド・バンガロール)でAIイニシアティブに取り組むプロダクトラインマネージャー、シャラート・チャンドラ・コギラ氏

情報過多にはすぐに対処する必要がある。私たちは大量の情報にさらされているため、認知力が低下し、情報を要約し、理解し、価値を引き出す能力が問われる。この世代からは、チャットGPTのような大規模な言語モデルをベースにしたAIシステムが、私たちに代わって情報を解釈し、要約してくれるようになるだろう。ここで私が考える問題は、聖書を含む情報を読む際、特定の世界観やイデオロギーを反映するようにモデルが訓練される可能性があるということだ。特に、信仰を始めたばかりで資料や情報を探している人に影響を与えるだろう。

音声を含むあらゆる種類のコンテンツが、GPTシステムを使って制作され、本物に見えるようにすることができる。これは深刻なリスクだ。なぜなら私たちは、真実と偽造の違いや、オリジナルのコンテンツと工作されたコンテンツの違いを見分けることができないからだ。さらに、GPTシステムでは、情報の出所を追跡することができない。ウェブで情報にアクセスする場合、ウェブサイトへのリンクが必要で、真偽をより簡単に確認することができるが、GPTシステムでは、情報の出所を追跡することができない。このような場合、すべての情報を信頼しなければならないか、まったく信頼してはいけないかのどちらかである。このような方法論が用いられる時、AIシステムは中立的な視点か、政治的な偏見に満ちた視点を持つことになり、聖書の観点から状況を解釈する上で好ましくない。

エチオピア、アディスアベバ、デジタルヘルス、eラーニング、テレコミュニケーション企業をサポートしてきた人事コンサルタント、バセバ・カッサフン氏

世界の教会は、西洋の文化に価値を見出し、その文化が歴史的にキリスト教と関係があるかどうかに関係なく、西洋の文化を大切にすることがあまりにも多い。現在、エチオピアではチャットGPTは利用できないが、クリスチャンが西洋文化をさらに賛美するためのツールの一つになるのではないかと心配している。また、チャットGPTはまったく異なる文脈で機能するように設計されているため、私たちエチオピア人に対する答えや応用が限定的なものになることも懸念している。

チャットGPTにアクセスできるクリスチャンは、このAIがよく練られた説教や教えを生み出すという事実と向き合わなければならない。もしこのようなことができるのであれば、私たちの個人的な聖書の勉強を、チャットGPTは真似ることができるだろうか。私たちの個人的な変革は、私たち自身が聖書を掘り下げ、学ぶことによって起こる。もし、私たちが要約や結論だけを与えられるだけなら、何が起こるのだろうか?

インドのIT専門家であり、AIのオピニオンリーダー(公的機関の職務の性質上、公の場でコメントすることを許可されていない)

チャットGPTのような自然処理ツールは、ユーザーと対話する際に、単語の埋め込みと呼ばれる処理を行う。それぞれの単語埋め込みは、問い合わせに答えるために、異なる単語を結びつけて文章を構成するための独自の内部数学的ルールを持っている。

文章を構成するために次に可能な単語リストの各単語には確率が割り当てられ、最終的な単語は最大確率または人間のフィードバックによる強化学習で導入されたバイアスの結果に基づいて選択される。

その結果、チャットGPTが回答するあらゆる問い合わせは、事前学習で使用した学習データと、モデルの微調整時に提供される人間のフィードバックに依存する。チャットGPTが使用するインターネットトレーニングデータには、親キリスト教の「文章集」と、批判的または反キリスト教の「文章集」の両方がある。

さらに、チャットGPTのようなチャットボットは、偽のデータや合成データによって意図的に毒を盛ることができ、答えを幻覚化することができる。したがって、チャットGPTからの回答は、その神学的妥当性や歴史的正確性について批判的な評価が必要となる。

このような重大な制約があっても、チャットGPTは、無数のブログ、議論、談話、解説、地図、図表、ハンドブック、体系神学書、一般的なキリスト教書籍、学習聖書を通して、膨大な量のプレミアム聖書の教えを簡潔かつ無料で容易に参照できるため、神の言葉を学ぶための素晴らしいツールである。

しかし、チャットGPTを利用したいインドのクリスチャンにとって、良くも悪くも、この膨大な知識はほとんどが英語で提供されており、ヒンディー語などインドのローカル言語や他の21の公用語ではあまり提供されていないのが現状だ。

ブラジル・サンパウロのABC2(ブラジル科学者クリスチャン協会)の編集・教育マネージャーであるマルセロ・カブラル氏

チャットGPTは、聖書の読み方や研究の進め方において、クリスチャン(信徒と聖職者の両方)を大きく改善するための枠組み、解釈者の提案、神学的伝統のわかりやすい要約を提供することができる。

一方、聖書のテキストを深く考察しようとするクリスチャンにとって、ソーシャルメディアと並んでもう一つの障害になるだろう。それは、クリスチャンが自分自身で聖書本文を読み、その返報として聖書本文が読者を「読む」ことを妨げるからだ。この知的・霊的な作業は超自動化され、思考し創造する形成的なプロセスにおいて、心と身体を萎縮させることになりかねない。

ウガンダのAIプラクティショナー、ベンジャミン・ビマニワルハンガ氏

ウガンダの人々はスピリチュアルで、聖書の中に自分の実生活に関係する教えがあることを知りたがっている。チャットGPTがそのような人たちのために作られたものであれば、多くの人が利用することだろう。

しかし、先進国ではインターネットが知識の源として役立っているのに対し、発展途上国では国民の大多数が利用できていない。インターネットが提供する国際言語を話せない人が多く、これまで情報源として活用してきたのはエリート層だけだったのだ。

インターネットの普及が進み、「専門的なコミュニケーション」経路を利用したチャットベースのインターネットアプリケーションが増えれば、先進国の多くの人がこうした場所に知識を求める機会が生まれる。しかし、これはチャットGPTのようなツールが現地の言語で動作するかどうかにかかっている。そうなれば、モバイルマネー革命で先進国が躍進したように、チャットGPTのようなアプリケーションが欧米のユーザー数を凌駕する勢いで普及することだろう。

チャットGPT

チャットGPTのような自然言語処理ツールは、聖書の解釈や解説へのアクセス性を高め、多様な視点を提供し、文脈を理解し、個人に合わせた指針を提供することで、聖書の解釈方法を変えることができる。

また、神学的な情報にもすぐにアクセスでき、より包括的なものとなる。チャットGPTは、幅広い情報源を処理することができ、ニュアンスある聖書の理解を促進する。文脈、歴史的背景、文化的言及を分析し、正確な解釈を助ける。このツールは、ユーザーが複雑な概念を理解し、教えを個人の状況に適用できるように、会話形式でやり取りを行う。

しかし、AIチャットボットはツールであり、人間の解釈の代用品ではない。聖書の複雑さには、専門知識、識別力、神学的理解が必要だ。AIチャットボットは貴重な洞察を提供するが、包括的な聖書解釈のためには、訓練を受けた神学者や学者と関わることが不可欠であることに変わりはない。

(翻訳協力=中山信之)

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