Q.教会の敷地を信徒以外の団体に会場として提供し、収益を得ることは可能ですか?(40代・教会役員)
経験した事例をご紹介しましょう。都心のことで、教会の裏庭の空きスペースを駐車場として当時はまだ未信者で後に教会員となった方に貸しました。賃料は、その方の事情もあり相場の半分以下にしましたが、賃貸借契約書を作成して契約しました。教会会計上当然駐車場代として処理していました。
ある時、役所から連絡があり、この駐車場に常時駐車している車両は教会の車でないとすると貸しているのか、収益をあげているならその部分は固定資産税を非課税にできないのでこのままではその部分(駐車スペース)を区分けして課税対象にする、とのことでした。
教会としては、役員会で協議し、役所には偽りなく説明した上で、その後、賃貸料はいただかないこととして、仮に志があれば、自由に献金をしていただくこととしました。
つまり、たとえ相場より安くても、駐車場のように継続的に貸して賃料を受け取るとなると非課税とされる境内地と言えなくなる可能性があります。これが一つの問題です。
他方、通常は教会の本来の用途に利用し、一時的に依頼されて会場として土地をお貸しするようなことは、これが始終行われている場合はともかく、以上とは別に考えることができるでしょう。たとえ信徒が関係していない団体であっても、あるいはキリスト教と無関係のようであっても、その催しの趣旨が営利目的でなく、教会の宣教課題につながるものであれば、宣教活動の一環ということもできるでしょうし、その場合には、いただくものもそれを考慮した謝礼・献金ということになるかと思います。
教会の敷地で行われている活動は教会と関係があり、教会が支援している活動と見られても仕方がありませんから、信徒か否かというより、また収益でなく、その地にある教会の働き、つまり宣教を第一として教会全体で考えることが、後に多きな真の実りを結ぶことになると思われますがいかがでしょうか。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
おおしま・ゆきこ 弁護士。1952年東京生まれ。72年受洗。中央大学法学部卒業。84年に千葉県弁護士会へ登録。渥美雅子法律事務所勤務を経て、89年に大島有紀子法律事務所主宰となり現在に至る。日本基督教団本所緑星教会員。