Q.既存の牧師像は打破してほしいと思いつつ、茶髪にジーンズで説教壇に立つ牧師には抵抗があります。考えが堅いのでしょうか?(30代・女性)
最近、日本の多くの教会が世代交代の時期を迎え、若い牧師が増えているというのは喜ばしいことですね。また年齢を問わず、今までとは違うスタイルの牧師たちも少しずつ増えています。牧師も多様化の時代なのかもしれません。
「茶髪にジーンズ」という格好は、今までの牧師像では考えにくかったことですが、ひょっとしたらこれからは「普通」になっていくのかもしれません。街には茶髪の若者があふれている時代ですから、ラフな格好の牧師のほうが親しみやすく、教会の敷居も低くなるでしょうし、そのような若者たちに福音を届けるには有効なのかもしれません。
あなたは「茶髪にジーンズで説教壇に立つ牧師には抵抗がある」と言われていますね。一つのポイントは、礼拝をどう捉えるかにあるように思います。もちろんその先生がTPOをまったく無視して、たとえばお葬儀のような場にもジーンズで来るとしたら、それは常識のない牧師ということになるでしょう。
では、礼拝はどうか。それには個人の考えもあるでしょうし、牧師の考え方、あるいは教会の考え方もあるでしょうから、そこをすり合わせていく必要があるでしょう。どのような教会にしていきたいのか、どのような礼拝を持ちたいのか、そういったビジョンを話し合う場があるといいかもしれません。
もう一つのポイントは、あなたが「抵抗がある」のは、牧師の服装や格好だけなのか、ということです。もしそうであるとすれば、見ているうちに段々とそのようなスタイルの牧師に慣れていくと思います。しかし、もしかしたら服装に抵抗があるというのは表面的なことで、実は牧師の態度や考え方に引っかかりを感じているということはありませんか?
「今までのやり方」から「新しいやり方」に移行するときには、それを願っていても少なからず困惑したり、抵抗を感じたりするでしょう。それならば、そのことを率直に牧師と話せるといいかなと思います。
むらかみ・じゅんこ 慶応義塾大学文学部人間関係学科心理学専攻卒業。アメリカ・ホイートン大学大学院臨床心理学科修士課程、聖学院大学アメリカ・ヨーロッパ文化学科博士課程修了(学術博士)。中学校、高校のスクールカウンセラーを経て、現在、聖学院大学心理福祉学部心理福祉学科教授。公認心理師・臨床心理士。カウンセリングオフィスお茶の水にて心理相談も行う。