NCC 「統一協会問題」で声明 韓国教会との協働を

日本キリスト教協議会(NCC)は10月18日、「統一協会(世界平和統一家庭連合)問題に関する声明――韓国教会との協働を願って」と題する声明を発表した。

声明では世界平和統一家庭連合について、2015年8月に「世界基督教統一神霊協会」から改名し、韓国では「統一教」、欧米では「Association」と自称しており、「その実態は統一協会と何ら変わらない」と指摘。「マインドコントロールによって、信教の自由が侵害されていること」「統一協会の教義は歴史認識の改善と和解と平和の働きをも侵害すること」の2点を改めて確認した上で、「同時に、正統な教理を擁護するキリスト教諸教派においても、同様な歪んだ教会形成は大いに戒められ、強要されない自由が保障され、健全な教会形成が求められている」点にも言及した。

さらに、「日本の侵略加害の歴史を『だから財産を巻き上げ貢がせるのが正当だ』と利用されることによって、日本の韓国への不信感が煽られ、『日本の侵略加害の歴史を継承すること自体が問題』とする右派の主張に巻き込まれ、ヘイトスピーチが高まって、それがかえって和解の妨げとなることを危惧」し、「統一協会の教義と行為は、私たちが大切にしている『日韓の和解と平和』への挑戦以外の何物でも」ないと非難。「『韓国基督教教会協議会(NCCK)』と協働して取り組むことによって、『日韓の和解と平和』の課題がさらに前進すること」を希求した。

声明の全文は以下の通り。


統一協会(世界平和統一家庭連合)問題に関する声明――韓国教会との協働を願って

2022年7月8日に安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃撃され亡くなった事件を契機に、容疑者の銃撃の動機となった「世界平和統一家庭連合」の問題が、大きな世論を呼び起こしています。自民党所属議員をはじめ保守派の政治家との関りや関連団体である「国際勝共連合」による選挙での組織的支援が続々と明らかになり、高額な献金被害や霊感商法の訴えは今もなお続いています。

世界平和統一家庭連合は2015年8月に「世界基督教統一神霊協会」を改名したもので、韓国では「統一教」、欧米では「Association」と自らを称しています。また、その実態は統一協会と何ら変わらないものです。従って、私たちは世界平和統一家庭連合問題を「統一協会問題」と捉えます。

そして、以上を踏まえて、日本キリスト教協議会(NCC)として以下の点について取り組みを始めることが急務であることを表明します。

1.マインドコントロールによって、信教の自由が侵害されていること

統一協会問題は、憲法20条が保障する「信教の自由」を侵害する問題です。それは、キリスト教を装い、「平和」「世界平和」「家庭」「純潔」等をキーワードとして関心のある者や悩む者を呼び寄せ、聖書を著しく湾曲した独自の「原理講論」を絶対化し、統一協会のみが正しいとして、統一協会以外の宗教や思想に触れることを禁じる手法にあります。高額な献金も、信者がそうせざるを得ない教育システムが存在します。こうして、一人の人間を統一協会の枠に取り込むことは、信教の自由を奪う行為(マインドコントロール)です。同様に、合同結婚式によって形成した家庭に生まれた子どもたち(祝福二世)が抱えている問題は、「信仰的・教育的虐待」でもあり深刻であることを指摘します。

また、同時に、正統な教理を擁護するキリスト教諸教派においても、同様な歪んだ教会形成は大いに戒められ、強要されない自由が保障され、健全な教会形成が求められていることを添えます。

なお、統一協会問題に対して、全国霊感商法対策弁護士連絡会が、法務、文部科学の両大臣と検事総長に対して統一協会の解散命令を裁判所に請求するよう求めました。また、有識者検討会が、統一協会について宗教法人法に基づく調査を所轄庁に求める提言を考えていると報道されています。これらの動きに対しては、憲法20条が保障する「信教の自由」の範囲を守る中で行われるべきものであることを申し添えます。

2.統一協会の教義は歴史認識の改善と和解と平和の働きをも侵害すること

統一協会は、日韓の大切な課題である歴史問題を悪用しています。日本がかつて韓半島に対して行った侵略行為行った侵略行為を理由とし、日本は韓国に謝罪の貢物をささげる立場にあると信者に教育してきました。韓国を「アダム国」、日本を「エバ国」と位置づけ、悪を行ったエバ(日本)はアダム(韓国)に対して罪を償わなければならないとして、文鮮明に多額の送金を送り続けてきました。

このように、日本の侵略加害の歴史を「だから財産を巻き上げ貢がせるのが正当だ」と利用されることによって、日本の韓国への不信感が煽られ、「日本の侵略加害の歴史を継承すること自体が問題」とする右派の主張に巻き込まれ、ヘイトスピーチが高まって、それがかえって和解の妨げとなることを危惧します。統一協会の教義と行為は、私たちが大切にしている「日韓の和解と平和」への挑戦以外の何物でもありません。

私たちは、ここに統一協会の問題性と実態を明らかにし以下の諸課題に取り組みます。そして、この取り組みを、「韓国基督教教会協議会(NCCK)」と協働して取り組むことによって、「日韓の和解と平和」の課題がさらに前進することを願います。

2022年年10月18日
日本キリスト教協議会
議 長 吉髙 叶
総幹事 金 性済
第41回 総会期常議員会

 

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