Q.30歳を過ぎてから、教会の役員がしつこく縁談を持ちかけてきます。牧師が独身でいることは不自然でしょうか。(30代・牧師)
大丈夫。あとしばらくの辛抱です。私の経験ではある時を境に縁談もめったに来なくなって実に静かなものですよ。静かすぎて時々寂しくなるほどです。えっ、これではあなたのお悩みに答えたことになっていないって? では……。
たとえば、イエスさまは「天の国のために自ら進んで独身者となった者もいる」(マタイによる福音書19章12節)とおっしゃっています。カトリックの司祭はみんな独身ですよね。もしあなたが神様のみ心に従おうと一生懸命歩み、結果的に結婚をしないならば、周囲が何と言おうとそれはあなたにとって最も自然なことでしょう。
でも、もし結果的に結婚するのならば、これも同じくらい自然なことではないでしょうか。独身が自然か不自然かは、神様のみ前に立つあなた自身のありようです。
どうやらあなたの本当の問題は独身だということではなく、教会の方との人間関係なのではないでしょうか。内心「しつこい、いい加減ほっといてくれ」と言いたいのに、牧師と役員の関係なのでそれができない辛さが感じられます。
でも、そこまで何度も縁談を持ってきてくださるということは、その役員さんは本当にあなたのことを大切に思っているのでしょう。多少おせっかいかもしれませんが、敵というわけではないと思いますよ。
おそらくあなたは独身を何が何でも貫き通したいわけではなく、むしろ心震える素敵な出会いがあったら喜んで結婚される方だとお見受けしました。だからこそ結婚問題は人の言いなりではなく、神様に相談しつつ自分自身でよく考えたいのではないでしょうか。
クリスチャンたるもの「右の頬を打たれたら左の頬も」の精神です。逃げようとするから被害者意識が募るのです。むしろ積極的に相手の懐に飛び込み、自分の考えを話して協力してもらってはいかがでしょう。そうすれば、もはやあなたは信徒の余計なお世話に悩まされる気の毒な牧師ではなく、信徒のサポートに恵まれた幸せな牧師になれるでしょう。
やました・ともこ 福島県生まれ。同志社大学大学院神学研究科博士課程(前期)修了